斉藤昭彦さんと斉藤十内社長 5月10日 

イラクで拘束されている斉藤昭彦さんの弟さんの記者会見は、見ていてとても気の毒だった。10年以上音信不通の兄の消息が、こんな形でわかるなんて想像だにしなかっただろう。この10年間、家族は昭彦さんのことを心配しない日はなかったに違いない。勿論、昭彦さんも、家族のことを忘れてしまったことはなかったはずだ。そんな家族の関係が、まさかイラクで昭彦さんが拉致されたことをきっかけに、再び蘇るなんて皮肉な話だ。残された家族のことを思うと、斉藤さんが無事に救出されることを祈るのみだ。

なんだか最近、悲しいニュースばかり。他人事とはいえ、心が痛い。とにかくこの頃は、馬鹿笑いできなくなった。年のせいだと言われればそれまでだが、特にJR福知山線の大惨事は人災だけに、100名を越す犠牲者の方々の無念を思うと、自然に心が沈む。こういう時は思い出す。ありがとうの清水英雄先生の教え。「おれがおれがのがを捨てて、おかげおかげのげで生きる」。

JR西日本大阪支社の今年の社訓のまず第一は、「稼ぐ」だ。ところが、結果的に、その言葉が命取りになったのだ。空前の大赤字を解消するために民営化された国鉄は、利益を出すことだけに猪突猛進した。しかしその一方で、人の命を預かる鉄道会社としての社会的責任を、完全に忘れてしまっていたのだ。JR西日本の幹部の物言いは、自己保身以外の何ものでもない。利用者であるお客様のおかげで鉄道は成り立っているのだと、考える幹部がいったい何人居るだろうか。

翻って私自身、日々、患者さんにいろいろなことを教えられながら、なんとか任務をこなしている薬剤師の一人であることを、あらためて肝に銘じる。尼崎の事故でもはっきりしたが、備えは完璧であってはじめて備えとなる。中途半端な備えでは、まったく意味をなさない場合がある以上、備えは万全でなければならない。患者さんに服薬説明はしていても、年配の方、若い方、様々なタイプの患者さんから学び導いていただいているのは私のほうだ。

今、最大の懸案は、JR西日本の新たなリーダーの人選だ。現社長・会長に退陣していただくことは当たり前。一部で論じられているように、誰よりも早く救出にあたった沿線の企業「日本スピンドル」の斉藤十内社長が、私も適任だと思う。事故現場での瞬時の適確な判断、そして強いリーダーシップ、住友重機時代などから培われた危機管理のノウハウが、まさに生かされた瞬間だ。事故に遭った人々の痛みを、まったく感じとることが出来なかったJR西日本の経営責任者と対照的に、そのうめき声をしっかりと受け止め、遅々として到着しない救急車を待ちきれず、工場のトラックの荷台にケガ人を乗せ病院に搬送した日本スピンドル・斉藤十内社長。「おかげおかげのげで生きる」人の代表格だ。

ところで、今夜放送のフジテレビ系「曲がり角の彼女」に、応援する地元出身「やべけんじ」さん、登場!タクシー運転手役のやべけんじさん、演技派の上に結構イケメン。近い将来ブレイク間違いなし。この次は、来月公開の映画「いらっしゃいませ患者様」が楽しみだ。
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