真の財政再建とは? 5月15日

市町村合併は、本当に強い日本をつくることができるのだろうか?市町村合併が、我が国の財政再建のためには、欠くべからざる非常に重要な要素だというのであれば、名実ともに「三位一体改革」の一翼を担うという高い志と正しい認識を、地方自治体は持たなければならない。

小泉総理は、2006年度予算編成も歳出抑制路線を継続するとし、いかにも引き締め予算を装うかのような「骨太方針」を発表する予定だ。約8兆数千億円の国の公共投資を、今年同様に来年度も、3%削減すると意気揚々だ。勿論、わずかでも削減することは悪いことではないが、昨年度がそうであったように、最終的には赤字国債を30兆円も発行し、借金を益々増やし続けるとになり、結局は小手先の誤魔化し政策であることにすぎないことはお見通しだ。

あまりにも膨大すぎて、まったく見当さえつかない数字だが、今、我が国が抱える借金の総額は、国・地方を合わせて1,000兆円を超えている。年収1,000万円なら、その1億倍!イメージもわかない。しかも、毎年40兆円(国30兆・地方10兆)ずつ借金は増えているのだから、雪だるま式などという生易しい言葉を使っている場合ではないのだ。可愛いチビッコたちが日本をしょって立つ30年後、このままいけば現在の倍の借金を背負うことになるのだから、あまりにも無惨でやりきれない。そんな社会をとても住みやすい社会とは言えないし、考え様によっては、私たち大人は、まったく無責任だとも言えるのだ。

小泉総理の「骨太方針」は、最終的には国債を発行して帳尻を合わせ、どこにでもいい顔をするという最悪の対応だ。毎年40兆円ずつの赤字であることはわかっているのだから、歳出削減と増税を断行するしかないことは自明の理だ。打ち出の小槌はどこにも存在しない。歳出削減で真っ先に手がけなければならないことは、公共事業と公務員給与総額の大幅な削減だ。

公共事業の削減は、今や多くの国民も共感するところだろう。ムダなダム、ムダな高速道路、ムダな新幹線、ムダな公共施設、ムダな空港・・・すべてが私たちの血税から捻出されていると思うと、心底むなしくなる。国と地方とを合わせて、なんと年間約40兆円もの予算が注ぎ込まれているのだ!全体の2割でも3割でも、削減しなければならないのだ。たとえ必要な公共事業でも、財政再建を実現するまではペースダウンしていくことが、絶対に必要なのだ。

そして歳出削減のもう一つの目玉が公務員給与総額の削減だ。バブルの頃は、公務員より民間企業のサラリーマンの方が厚遇だった。しかし今や逆転し、特に地方では公務員の給与のほうが民間よりもはるかに高い。現在の公務員給与の総額は、年間約40兆円!その中でも一番問題なのは、高すぎるキャリア公務員幹部の給与と、天下りするたびごとに転がり込む尋常ではない給与と退職金だ。キャリア公務員幹部の厚遇と、殆ど無味乾燥な天下り先たる特殊法人の、名実ともの全廃は急務だ。「独立行政法人」と名前だけ変更しても、リストラが進まない以上まったく意味がない。

一人あたりにして10%の削減で良いのだ。10%を多いと感じる公務員は居ると思うが、そもそも給料は仕事の対価。結果の出ない仕事は、当然ながら評価に値しない。民間企業なら、良いものをつくらなければ商品は売れず報酬もないが、公務員なら成果をあげなくても給料は保証されている。この大きな矛盾を解決しなければ社会の歯車はいつまでもかみ合わないままだ。更に、団塊の世代がリタイアした後の補充をしなければ、10年間で公務員の数を2割は削減することができ、合わせて全体で3割の給与削減を実行できるのだ。悲願である国債費を除く収支のバランスであるプライマリーバランスも、これで実現できるのだ。

こういう時、あらためてしみじみ思うのが、郵便局員の素晴らしさだ。公務員の中でも唯一、「自ら稼ぐ公務員」が郵便局員だ。郵政民営化に政治生命をかける小泉総理は、財政再建の面からしても明らかに間違った方法を選択しようとしているのだ。わざわざ「自ら稼ぐ公務員」を切り捨てる愚かさに、総理は早く気付くべきだ。公務員の数が全体で2割削減されるために生ずるサービスの低下を、補ってくれるのが郵便局の窓口サービスなのだ。

超高齢化社会を迎え、社会保障費をいかにしてまかなうかは大きな課題だ。医療や介護が必要になり働くことのできない高齢者を支える世代の数が少ない以上、社会保障費の増額はやむを得ない。医療も介護も事実上の皆保険を目指したことは非難できるものではないが、医療費抑制を目指して導入された介護保険が、むしろ医療と介護の総額を年々増加させているという現実を直視しなければならない。老後の大切な収入源たる年金制度を維持するためにも、税収増を考えることは避けては通れない道だ。

しかし、だからといってやみくもに増税することは、低所得者の首を絞めるだけだ。すべての国民に平等に支給する、基礎年金の財源のための消費税のアップは、妥当な手段と言える。消費税1%は、およそ2兆円強。5%アップで10兆数千億円の税収増だ。それをすべて、基礎年金の財源に充てるのだ。消費税のアップは、政府も民主党もなかなか言いにくい話だろう。しかし、公共事業と公務員給与総額の削減でどんなに頑張っても尚、年間20兆円の新たな借金を背負う現在の我が国の現実から、私たち大人は今に生きる者の責任として、目を背けてはならないのだ。

今でこそ用途不明の消費税だが、その目的を明確にすることが必要だ。とりわけ増税分の5%を、基礎年金の財源にあてることは、正しく説明さえすれば国民の理解は得られるものと確信する。国民ウケを気にした小手先の政策は、結果的に、可愛いチビッコたちに大きなツケを回す絶対にとってはならない最悪のシナリオだ。ここまで郵政民営化にこだわり続ける小泉総理に、もはや真の財政再建なんて絶対に無理だ。2006年度予算の「骨太方針」も、結局は赤字国債に頼る、いつもの政策の二の舞いだ。日本再生への正しいシナリオを、国民あげて真剣に考えるときがやって来ている。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

昭和を生き抜いた日 5月14日

ワシントンポストは、「第2次大戦当時の天皇をたたえる祝日を定めた」と報道した。4月29日を、「昭和の日」とする改正祝日法が成立したことを受けての報道だ。日米間に、いかに認識の格差があるか、祝日の意味合いのとらえ方を一つとっても明らかだ。「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」という本来の趣旨とは、正反対と言ってもよいくらいズレている。

一事が万事、この調子なのだから、外交って本当に大変だ。だから、直接会話をするチャンスには、言葉を選びながら丁寧に話さなければならないのに、小泉総理は、シーファー駐日大使に対して「日本人にはアメリカ産ビーフの好きな人が多い」と力説したそうだ。またまた軽率発言。安価な牛丼のファンは大勢いるだろうが、事ここに至り、日本人の半数以上が、全頭検査をしないアメリカ産牛肉を食べたいとは思っていないことは数字に表れている。小泉総理の発言は、アメリカに対して明らかに大きな誤解を与えるものだ。

2007年から、「昭和の日」はスタートする。5月4日をただの「国民の休日」から「みどりの日」にすることで、「昭和の日」の制定・祝日法の改正に賛成した人も多いだろう。私もその一人。次は、8月15日を「平和の日」と定めてもらいたいものだ。先祖を供養する大切な慣習である「お盆」の最中だが、この日を「平和の日」と定めることの意義は大きいはずだ。

いずれにしても、政府は、「昭和の日」の意義を、国民に明確に示さなければならない。ワシントンポストならずとも、「昭和天皇をたたえる日」と勘違いする人は、日本国民も含めて少なくはないかもしれないから。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )