jurgen's Heurige Blog (ゆるげんのブログ)

I will, I will いっぱい足りないの切なくて
I feel, I feel いっぱい会いたいのボクだって

飛ぶ男、噛む女/椎名誠

2008年01月30日 | 読書
「ラブシーンは照れくさくて書けない」
とその昔、椎名さんは言っていた。
ところがどうだろう。
濃厚なラブシーンが何度も出てくる!出てくる!
やればできるではないか。

『春画』や『かえっていく場所』路線の私小説かなと思いながら読み始めていくと、
いつのまにかに異次元の別世界に立たされている。
そして怖い結末が待っているのであった。

かつて椎名さんのSF作品である『アドバード』や『シークがきた(後に雨がやんだらのタイトルで文庫化)』にチャレンジしたことがある。
しかし、なかなかその世界に入っていけず、いずれも途中で挫折してしまった。

今回の作品もSFの手法を用いたフィクションの短編(中編?)集であるけれど、
ぜんぜん大丈夫だった。
大丈夫どころか大いに楽しめた。
椎名さんの本を読んでいる人なら知っている旅の話、精神科医やストーカーKなどの実話とフィクションが巧みに交差し、知らず知らずのうちに主人公が不思議世界へ引き込まれていくという構成の上手さが光っているからだろう。



飛ぶ男、噛む女
椎名誠
出版社: 新潮社 (2004/10)
ISBN-10: 4101448264
ISBN-13: 978-4101448268
発売日: 2004/10