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心の音楽のふるさとTchaikovsky: Nutcracker Suite, Op.71a - 3. Waltz Of The Flowers

2020年12月10日 | 音楽

Tchaikovsky: Nutcracker Suite, Op.71a - 3. Waltz Of The Flowers

クリスマスシーズンによくかかるチャイコフスキーの『くるみ割り人形』。
なぜ、この時期にこの曲なのか?よくわからなかった。
答えは、物語の設定が「クリスマス・イブの夜」だから。
内容を単に知らないだけだった。恥ずかしい。
動画の「花のワルツ」はクラシック音楽に興味をもつキッカケのひとつだったことを思い出した。

時は1980年代。まだソビエト連邦があった頃。
ラジオを聴くのが昔から好きだったわしは、ある日このくるみ割り人形の「花のワルツ」をかけている海外からの短波放送に巡り合った。おそらくモスクワ放送のワールドサービスか国内向け放送マヤークのどちらかだと思う。ラジオのダイヤルを適当に回していたら、たまたま聴こえてきた美しいメロディとカラフルで華やかなアレンジに魅了された。
雑音まじりでゆらゆら頼りなく聞こえる音楽だっただけに、本場のソ連から電波がわざわざ日本に届いているという臨場感があってよかった。もし、これがNHKのFM放送のように雑音もなく安定したクリアな音だったら、あたりまえすぎて、それほどの感動はなかっただろうし、記憶にも残らなかっただろう。

ちなみにソ連時代は国の大々的な宣伝が大好きというかソ連共産党の大事な国家戦略だったので、モスクワ放送の周波数がやたらいっぱいあって英語によるワールドサービスは1日中聞こえていた。日本向けに日本語放送も行われていて、短波でも中波(AM)でも強力に聞こえていた。
当時、ニッポン放送(1242kHz)のすぐ隣1251kHzに夕方からモスクワ放送の日本語番組が出現。ニッポン放送ショーアップナイターで巨人戦を聴いていると、このモスクワ放送がシャリシャリと混信してきて耳障りだった。ソ連が崩壊してロシアになると、モスクワ放送は「ロシアの声」に変わり、さらに「ラジオ・スプートニク」へと変貌しラジオ放送の規模も徐々に縮小。2014年5月に日本語放送は休止となった。
一方のソ連国内向け放送の「マヤーク(ロシア語で灯台の意味らしい)」もソ連時代に短波・中波・長波でよく聞こえていた。朝は情報番組のトーク。それ以外は基本的に音楽だけ。静かめな曲が多かったので夜に勉強するときのBGMにちょうどよかった。4040kHzの放送が状態が安定していてよく聴いていた。ソ連崩壊後もしばらくは聞こえていた。ロシアになってからBON JOVIやEAGLESなど西側の音楽も放送するようになり時代の流れを感じた。ソ連時代に日本のダークダックスがたまにかかっていたけど、アメリカのアーティスがかかった記憶はない。最近は短波・中波とも廃止され、まったく聞こえなくなってしまった。現在はインターネットで聞けるけど、ソ連時代の空気感・雰囲気とはまったく違う別ものになったしまったようだ。毎時0分と30分に流れる『モスクワ郊外の夕べ』のインターバルシグナルがとても印象的だった。

音楽に話を戻すと、
クラシック音楽を聞き始めた時期に、チャイコフスキーの代表曲を集めたコンピレーションのCDを買った。その中にカラヤンがおそらく1960年代にウイーンフィルを振って録音された『くるみ割り人形』の「花のワルツ」が収録されていた。カラヤンらしい洗練されたエレガントで美しい音楽に、あっという間に虜になった。例のラジオで聞こえたこの曲は、どこのオーケストラ?どの指揮者?によって演奏されたものなのかは不明だが、懐かしい昔の風景に再び戻ってきたような気がした。