GHQに促された日本政府が松本烝治委員会の下、憲法草案をまとめた。しかしその草案は大日本帝國憲法に少しばかり手を加えた程度のものであったため、GHQに突き返された。
白洲次郎のその時の立場は、私にはよく分からない。曖昧にも思えるのだが、得意の英語でGHQに激しく楯突き、抵抗の姿勢を示したのが白洲次郎であった。
その後、日本国憲法は「占領軍に強制された」と言ったとされる白洲次郎の言葉が残された。白洲次郎は実に複雑である。しかし白洲は「新憲法のプリンシプル(原則)は実に立派である」とも評価した。さらに憲法9条を絶賛さえしている。
戦争放棄の条項などは圧巻で、押し付けられようが、そうでなかろうが、いいものはいいと率直に受けいれるべきだ」
白洲次郎はそのイギリス時代を含め、その後の世過ぎと彼の起用、そして彼の立場、経済人としても、曖昧でよく分からない。実に謎めいた人だったのではないか。