シリーズで紹介して参りました「北陸ロマン紀行」ラストは、金沢市内郊外にある“チカモリ遺跡”に復元された環状木柱列の紹介です。
チカモリ遺跡公園 発掘跡は、現在遺跡公園となっています。
昭和55年に行われた発掘調査で349点の木柱根が発掘されたそうです。
縄文時代後期から晩期にかけての集落遺跡 跡で、同様の環状木柱列は、北陸地方中心に約20遺跡ほど見つかっているそうです。
直径約60から90センチメートルのクリの巨木を縦に半分に割り、切断面を外側に向けて直径約7メートルの円形に立て並べたもので、全国ではじめて発見されたのだそうです。(写真は復元したようす)
この環状木柱列の用途・機能については様々な意見があり、現在でも明らかになっていないそうです。
その用途に関しては、葬送儀礼に関連する施設と言った考え方が代表的なのだそうです。言える事は、同様な構造物がこの地方に集中している事から縄文時代晩期の北陸地方に、同じ思想を持った人たちの集団が暮らしていたわけで今もなお謎の建造物である事は間違えなくロマンを掻き立てさせてくれます。
チカモリ遺跡案内(写真クリックで拡大)
続いて遺跡公園となりに併設されている金沢市埋蔵文化財収蔵庫 を見学しました。
ここの目玉展示は、 実際に出土した木柱根を水槽の中で保存展示していて間近に見学することができます。
興味深かったのが木柱に彫られた溝の跡で、運搬用であればこんな複雑な溝などを掘る必要はないわけで謎として残っているそうです。
収蔵物
収蔵物
北陸地方独自の装飾と形状が興味深いです。
釣手型土器 北陸地方の縄文土器は、実用的なものが多い印象(縄文晩期であるのも一因か?)ですが用途不明の釣手型土器も数点みかけました。
釣手型土器は、長野、山梨県で多く出土されていますが北陸でも出土されていたのは新たな発見でした。用途に関しては、一般に吊るした状態で使われた燭台、香炉と言われていますが蛇紋など動物の形状を象った紋様を持つものも多く祭祀儀礼用と言った説もあるようです。
【マップ】
金沢駅シンボル楼門 ライトアップされていていい雰囲気でした。
北陸ロマン紀行シリーズ如何でしたでしょうか?
ありきたりな観光スポットだけではなく、テーマを絞って(今回は宇宙・縄文・温泉)訪れれば、充実した魅力ある旅となります。
今回以前より行きたかった場所を厳選して訪れて見ましたが、まだまだ見逃している場所もあり、次回につなげたいと思います。
確かに不思議な遺構です。
おっしゃるように果たして当時ここで、どのような祭祀が行われていたのでしょう。興味のあるところです。
ウッドサークルがこの地域だけの特有の施設というのも面白いです。
あきらかなのは、当時の人々は同じ思想を持ちムラを形成していた文化圏をだったわけで、同じ縄文社会でも八ヶ岳周辺の文化圏との比較をいずれしてみたいです。