語り始めるのがすごく難しくて、ずいぶん時間がかかってしまった。
田尻さんはある程度定期的に個展というかたちで作品を発表しつづけている。
よく知らないのだけれど、彼女の作品は評価も得ているようだ。
いつも、大勢の来場者がゆききしているのに驚く。
必ずいつも何年かぶりに会うのに、不思議と時間を感じない。
彼女が作りだすものは、毎回、さほど違わないように、私には思われる。
それでも彼女が誰かに作品について話している姿が記憶に残る。
もうひとつはこの何年か彼女が熱中しているボクシングの話だ。
以前一緒に働いていたときには厚みのあった体が、
ターミネータの骨格のように、くっきりとした輪郭で構成されている。
最近は教える側に回りつつあるのだとか、朝一番に部屋を開けることだとか。
田尻さんが、私にききたいことは、いつもないようだ。
わがままなことだよなあ、と思った。
アーティストって。
だってさ……
しかしそのことを彼女自身がわかっていない可能性があろうか、いやない。
そう思ったとき、ぐるりと反転して、
彼女がなぜ作品を作り、個展を開き続けているのか、
その答えの、ほんとに真ん中の部分だけだけれど、わかった気がした。
答えといっても、それだけのことならば、
田尻さんもきっと、人がわからないような、難しいもんだとは思っていないだろう。
だけどその前にまず、作品を見てもらおう。
開催情報↓
ギャラリー水土木(みず・と・き)
西武池袋線江古田駅下車
田尻幸子展、ひかりのつぶⅡ
2010/4/4まで 12:00-19:00
※最終日は16:00まで
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