「ローマ人の物語ⅩⅠ 終わりの始まり 」を読みました。
皇帝マルクス・アウレリウスからコモドゥス、内乱を経てセプティミウス・セヴェルスまでが描かれてあります。
終わりは文字通り、ローマ帝国滅亡を意味します。
いまだローマは強大なれど、周辺の環境の変化に前もって対応が取れなくなりつつあり、徐々に歪がで始めています。
その根本は、マルクス・アウレリウス帝の前の皇帝アントニヌス・ピウス帝にあったのではないかと著者は述べています。
ローマによる平和とは帝国内の安全・食の保障のこと。
ハドリアヌス帝により防衛ラインの強化がなされた後、平和な時代が続き、国境に行かず首都ローマにいてやりとりするだけで全土が治められた。
特別なことは何もしない、必要なかったいえばそれまでだが、将来の芽も見逃していたのではないかと。
マルクス・アウレリウス帝の統治になると、不幸にも天災や蛮族の侵入に悩まされ始めます。哲人皇帝と呼ばれ、常に理想の皇帝像とはどうあるべきか考えながら統治を行っていきます。皇帝の責務として前線での戦争指揮、戦略・戦術的才能はそれほどでもなかったとされていますが、人材・部下を育て適材を配置、その統治の姿勢は前線の軍人たちからも畏敬の対象となります。
皇帝として正しくあり続けようとしたマルクス帝、手続きを踏んで息子のコモドゥスを次期皇帝として確立しながらも、後継者としての能力に問題は感じていたであろう。
五賢帝自体がそうであったように、血縁によらず能力で後継者を選んでいくことが帝国にとってもっともよかったのではないかと作者は考えますが、元老院と民衆へ承認を経てきたことを覆すこと、次期皇帝をはずされたコモドゥスが原因による内乱など、マルクスとしては他に道はなかったとも述べています。
コモドゥス帝の暗殺、内乱、セヴェルス帝の即位。
蛮族の侵入の恒常化によるセヴェルス帝の軍団重視の政策がこれからのローマにどう影響してくるのか、ローマがどのように衰退していくのか、寂しくもあり興味も惹かれます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます