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欠損歯の治療を行う際に見る指標1 ~Eichnerの分類~

2010-03-20 07:35:25 | 歯科臨床
歯の治療を行う上で分類していることは以下の3つです。
1、一次医療(主に予防)
2、二次医療(補綴前処置)
3、三次医療(補綴)

基本は補綴前処置(むし歯、歯周病、その他)が終わると、欠損している部位に歯を入れる補綴治療に移行するわけです。

この補綴設計をする際に指標の一つとして多く用いられるのがこのEichnerの分類です。
ヒトは4つの咬合支持域を持っています。
(上下の大臼歯部、小臼歯部で2つ、左右あるので×2)
この支持域と欠損の状態から、
A1~A3
B1~B4
C1~C3 
と分類します。
A群:4つの咬合支持域に全て対合の接触があるものをA群
A1:上下の全歯が揃っているもの。理想的な状態。
A2:対顎に限局的な欠損があるもの。機能的にはほぼ問題なし。
A3:上下顎に欠損あり。 この場合はブリッジで行う場合が多い。無理にインプラントは必要無いか??

B群:対合の接触が1~3のもの。(支持域外の前歯部も含む)
B1:3つの支持域
B2:2つの支持域
B3:1つの支持域
B4:支持域外(前歯部)に支持域があるもの

C群:対合接触が全くないもの
C1:上下に残存歯あり
C2:片方は無歯顎、片方に残存歯あり
C3:上下無歯顎

当然のことながら、C→B→Aの順に重症なわけです。
CからB4あるいはB3へ、B3からB2へ、B2からB1へと持っていくのが欠損歯列の治療法です。理想はA群まで持って行きたいものですが(^^;
B1くらいがゴールになることも多々あります。
それは、このへんだと、入れ歯を装着すると、逆に不快になることが多いからです。
そんなに咬めないわけでもないので、義歯を作製しても、装着しない患者さんが多いのではないでしょうか??
ですが、ここから欠損が進行すると、急激に不便になるわけです。
臼歯部の支持はかみ合わせを決める最重要項目なのです。
ここに残存する歯の1本あたりの生命力を考慮し、補綴設計をします。
残存する歯をコントロールするのは歯周治療であり、むし歯の治療です。
ここでは、歯周病の項目で述べた。
1、Good
2、Guarded
3、Poor
4、Hopeless
の4つの項目から保存、抜歯の判定を行うわけです。

残存歯の処理(補綴前処置)が終わるといよいよ補綴設計に入ります。
補綴設計のツールは以下の4つです。
・インプラント
・ブリッジ
・義歯
・移植(時おり)

CからBへ、B4をB3へあるいはB2へと行う治療では現時点ではインプラントが最も効果が出やすいと言えます。
今度述べるKennedyの分類で言うⅠ級が難しいわけで、要するに、遊離端欠損の義歯はやはり安定度に欠けるといわざるを得ません。

これを中間欠損にするだけでも義歯の効果は大きく異なってきます。
最近はインプラントをそんなツールに用いています。
本数も少なく抑えることが出来るため、とても便利です。

建築と似ていると思うのは、基本設計をしっかりと行うことです。
建築と異なる点は、生物学であることです。
つまり、「柱」である歯や周囲の歯肉が炎症を起こしたりするため、設計の変更を余儀なくされることがあるのです。

「炎症のコントロール」

これが補綴前処置における最大のポイントと言えます。
そのために活躍するのは歯科医師よりも歯科衛生士の役割が大きくなることが多いのです。

歯科医師を術者とすると、患者さんと術者は目線が異なるものです。
そこの橋渡しをしてくれるのが歯科衛生士さんなのです。
術者側、患者側、両方の視線から両者をサポートします。
歯科衛生士は歯科治療におけるハイブリッドな役割を果たしてくれるのです。



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