朝の数時間しか日がささないところで
うちの岩ツツジはみごとな紫に咲く。
10代のころ、家を出た私は、
たまに帰れる春に、
満開の岩ツツジの、
透き通るような紫を見て、
やっとふるさとに帰ってきたんだと
思ったものだった。
だから
よそで岩ツツジを見ると、
家の岩ツツジにワープする。
何年経っても
か弱い枝は変わらない。
一緒に植えられたほかの木々に
邪魔にならないように咲くからって
ささやいているかのよう、
つつましくも
りんと咲く紫の花は
私にとって
ずっと帰りを待ってくれた母のようだ。
うちの岩ツツジはみごとな紫に咲く。
10代のころ、家を出た私は、
たまに帰れる春に、
満開の岩ツツジの、
透き通るような紫を見て、
やっとふるさとに帰ってきたんだと
思ったものだった。
だから
よそで岩ツツジを見ると、
家の岩ツツジにワープする。
何年経っても
か弱い枝は変わらない。
一緒に植えられたほかの木々に
邪魔にならないように咲くからって
ささやいているかのよう、
つつましくも
りんと咲く紫の花は
私にとって
ずっと帰りを待ってくれた母のようだ。