鉄マニズム
ホイドーズ鉄マンの日々
 



その日俺は、またまた新宿のウォータールーに呼び出された。

相手はまたもや石鍋秀明である。

前の鍋からのホイドーズ入りを断ってからちょうど一年ぐらいたったであろうか、

そのゆうに100キロはあるであろう男は切り出した。

『鉄マン!俺ホイドーズに入る事にしたよ!』

まてまて、
お前の決める事じゃ無いだろうよ!


まず、いっとくが、
ホイドーズ的にベースが欲しいとは常に思っていた。

その当時ホイドーズはギターボーカル、ギター、ドラムの三人編成だった。

ベースがいない俺達はギターをベースアンプにつないで低い音にしたりと、色々工夫していた。
それはそれで楽しいのだが、『ベースがいればなぁ』というのが本音ではあった。


そして、飲み仲間でもある鍋の事は好きだったし、この男の持つ『技術』もまた魅力的ではあった!


しかし、彼は老舗天ぷら屋の跡取り息子。


俺が一年前に断ったのはそれだ!

こんな具合に

『鍋。俺達本気なんだ!お前は天ぷら屋になる男、仕事が、家業が大事だろう!それに、出れるライブと出れないライブがあっては困るのだ!』

だから今回も断るつもりだった。


すると次の彼の言葉には驚いた!

『鉄マン!俺、仕事辞めてきた!跡目は弟に譲ってきた。親父ともちゃんと話を付けてきた。だから俺はホイドーズに入る!』


決断とは冒険の始まりなのかもしれない。

自分の人生をガラリと変える瞬間は、他の誰でもない!

自分自身が決めるのだから。



その男はこうも続けた。
『鉄マン!頼むぞ!俺にここまでさせたんだ!責任とれよ!』

と、

『おう!』

とばかりに乾杯をしたのです。

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )