心を込めて

心の庵「偶垂ら庵」
ありのままを吐き出して 私の物語を紡ぎ直す

東日本大震災から6年①

2022-04-11 21:20:02 | 東日本大震災

東日本大震災から6年経過した時の過去の話、子供の小学校卒業の保護者会で突然息が苦しくなった。

「足掛け12年、2人の子供がこの小学校にお世話になりました、楽しく充実した12年間でした。」他のお母さんの発表を聞いた時、私の中で何かがプツンと切れた気がした、息ができなかった、苦しくて早くこの席から逃げ出したかった。震災は過去のものであり、実は未だに苦しむ人間がここにいることは、想像されていなかった。

私には、この6年間は苦しみの連続だった、苦しみながら生活を紡ぐことが未来に繋がれば、その一心で持ちこたえていた。子供が新入学を迎える年で卒園式前だった、突然の被災で逃げまどい何度か転居し、その都度新しい生活に適応しようと努力し疲弊していた、この生活の先にある達成感は遠かった。それなのに保護者として充実した小学校生活を送れたと、幸せだったと微笑む人がこの場に存在するのだ。

「楽しい12年間」という言葉は、何かが得られると信じて頑張ってきた自分が崩れる破壊力のある言葉だった。保護者会の後、誰も居なくなるまで廊下の端のベンチに座っていた、苦しくて立ち上がれなかった。震災で引っ越してきたと知る人も、誰も、大丈夫?と慮る人はいなかった、皆自分のことでいっぱいだった、私も含めて。

数か月後、この地で親しくなった子供の同級のお母さんにこの話をしたら「6年も経ったのに?今頃?」と不思議そうにされた。そうだよね「今頃」だよね、しかし「ずっと」なのかもしれないなと漠然と感じた。この地でも東日本大震災で被災し苦しまれた方もいらっしゃったと思う、乗り越えて幸せだったと言ってらっしゃるのかもしれない。しかし私は今はまだ、辛苦を乗り越えた上で「幸せだった」とは言えない状況だった、傷は生々しく膿み、今まさに苦しみの真っ最中だった。

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