メタルヒーロー

物心ついて間もない頃に視聴して、うっすら覚えているけど詳しくは知らないテレビ番組。テレビ世代の人なら誰しもひとつやふたつあるのではないでしょうか。私にとってのそれは「機動刑事ジバン」、「特警ウインスペクター」といった児童向ＴＶシリーズ『メタルヒーローズ』です。何故こんな話をするかと言うと、最近シリーズの元祖『宇宙刑事ギャバン』を始めとしてメタルヒーローが再び脚光を浴びるようになってきたのが気になったから。
ブームには周期があると言うけど、東映はメタルヒーローを本格的に売り出すつもりらしい。ちょっと前に映画化したキカイダーも、シリーズは違うけどルックスは完全にメタルだ。メタルヒーローはあの重厚な感じがいい。吹けば飛ぶような細見のルックスとは１８０°異なる、正に『戦う男』だ。燃え盛る火炎の中に超然と立つ姿とか超かっこいい。動くたびにギュインギュイン音が鳴るのは様式美だ。完全なロボットならば、腕とか足とか吹き飛びながらも果敢に悪と戦う姿とか熱いシチュエーションも可能。うん、いい。
今放送している戦隊ものはモチーフの再活用で正直ネタ切れ感が否めない事だし、近年の急激な持ち上げ方はシリーズ再開に向けた布石なのかもしれないですね。始まったら見てみたい。けどあれだ、夏のキッズショーとか中の人が死ぬな。体を冷やせる様に水中に飛び込むシーンを増やすとかどうだろう。装備が重くて陸に上がれないヒーローとか嫌だな。あの格好だとそもそもアクションし辛いからショーには不向きか。ああ、舞台上で映える動きができるかどうかは確かに重要だ。でも変身スーツを脱いで生身で戦った方が強いヒーローなんて悲しい。「この鎧は私の力を抑える拘束具だったのだ。封印を解くことで真の力が解放される！」みたいな。完全に悪役ポジションだこれ。結局今の戦隊もののスーツが色々な意味で使いやすいのかもしれない。いっそのこと「裸一貫で勝負」が信条なヒーローも斬新かな、と思ったけどスーパーマンがいた。日本の子供たちにスーパーマン的ヒーローが受けるかと言うと果てしなく疑問符がつく。
やっぱり日本ヒーローにはロマンが必要なんだ。現実的に考えたら動きやすくて重火器装備がベストだし、だいたいあんなおおっぴらに出てくるような悪の組織なんてロボットだの強化戦士なぞ使わずミサイルで殲滅してしまえばいい！となる。
「大人の仕事は子供たちに夢を与える事」という至言に則るならばヒーローは合理性でなくてもいい。「夢」とか「勇気」とか「希望」とか「愛」とか、大人が正面切って叫ぶと引かれるような事をもっと詰め込んで子供たちに伝えてもいいんじゃないかなと考えてしまう。自分がそういうので育ってきたからそう思う、というのは多分にあるのだろうけど。