先日プリンセスプリキュアの映画を見てきました。「豪華3本立て」という宣伝文句でしたが、うちひとつは5分程度の短編だったので、実質2本立てです。
だからと言ってその短編、無視できません。それどころか案外重要だと思っています。内容はサイレントCGアニメーションで、見どころはコミカルに動いてかわいいSDフローラ。実験的な意味が強いんだろうなと思いました。今後アニメーションを作っていく上で、手書きだけではどうしても限界が出てくるでしょう。主に作業時間的な意味で。その状況を打破するには、CG技術の発展は必須となります。今の技術で全編CG作品を作ったらどうなるかを確かめるために、将来に対して布石を打つために、あえてやってみた気がします。キャラクターの動きが多かったのも、技術を色々試したかったからだ、と断定してみます。今回実際にCGで劇場版を作ったことで、どれくらい時間と手間がと費用がかかるか、どんな出来になって、反応はいかがなものかを知ることができます。正しく言うと、これらはやってみなければわかりません。結果失敗したとしても(作品的にも商業的にも)、そこは5分アニメ。致命傷にはなるまい。もしうまくいけばこれからに活かせる。そういった野心が見える興味深い短編でした。
そしてその次の本命。約50分の長編でした。正直時間が少なすぎます。最低限の起承転結をしただけでキャラクターの詳細を掘り下げることができなかったように思います。戦闘シーンに迫力があったのでプリキュアの映画としてはこれで十分なのかな。要は本来のターゲットである子供の心を掴めればOKなのだから、あんまり野暮なことは言いません。
スタッフが一番気合を入れてた、と言うか重要視していたのは最後の中編でしょう。リアル等身のCG、ボイス有り、それなりの上映時間。全編CGだと時間がかかるから中編にしたというだけで、真の目玉はこちらかもしれません。実際これが一番見応えがありました。ストーリー展開に若干疑問が残ったけど、映像として楽しむには満点。動きも自然でカメラワークもぐりぐり動く。表情も平面的でなく、CG技術が着実に進化していることがわかります。キャラクターが可愛く表現されていたので、それだけでもう幸せですはい。
プリキュアの映画も来年で20本を突破するとのこと。しかしその方向性は未だ試行錯誤の中にあります。と言うか、常に変化させ続けるからこそ生き残っているのでしょう。プリキュアのもともとのコンセプトは「女の子だって暴れたい」。このコンセプトにその年ごとのプリキュアのオリジナルコンセプトを掛け合わせることで、各々のストーリーが展開されています。コンセプトが被らないようにするのは大変な苦労なのだろうけど、今回の「プリンセス」みたいに強固なコンセプトが出来ればストーリーも作りやすくなります。この段階で次の問題となるのは表現方法です。だからこそ今回CG表現で大きな挑戦をしたという訳ではないでしょうか。
プリキュアシリーズはずっと続いてほしい。それがイチファンの思いです。今回の3本立てという意欲的な挑戦の裏で蒔かれた種が、シリーズの更なる進化に繋がることを願っています。今作のプリキュアも佳境。楽しみです。
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