あともう少しだけ

日々の出来事綴ります。やらずに後悔よりやって後悔。

而立

2016-11-04 22:58:25 | コラム

「さてさようなら20代」

「こんにちは30代」

「ま、特に何か変わる訳ではないけどね。気分的な問題だ」

「いや、世間的な扱いは変わるんじゃないですか?20代は若造ですみますけど、30代はどうしてもおじさん呼ばわりされますよ?」

「そうは言ってもさ、仕事柄60代70代の方々を相手にしていてだよ?下手すりゃ20代より元気に活動している姿を見る訳だ。そういうの見てると高々30歳で『おっさん』とか『年取った』とか言ってらんないなって思うんだよね」

「ま、単なる通過点には違いないですね。そこを間違えるとおかしなことになります」

「そもそも生まれ年で考えれば去年の時点でとっくに30歳になってるし。今更って感じだし」

「そう斜に構えないで。みんな通る道です」

「それはそれとして、せっかくだ。これで祝っとこう」

「おお、ワインですか。普段お酒を飲まない貴方にしては珍しいですね」

「こういう時ぐらい、たまにはね。体の酸化を抑える為の赤ワインですよ」

「健康志向、まことに結構です」

「コップはひとつでいいよね?」

「ナチュラルにハブるの止めましょう?」

「しゃあないな。で、コルク抜きはどこだ?」

「・・・知りませんがな」

「台所かどこかにあったはず。ちょっと見てきて」

「一緒に行きましょうよ」

探索中

探索中

探索中

「ない」

「無いですね」

「この1本に為に新しくコルク抜き買うとか嫌なんですけど」

「コルク付いてないの買えばよかったじゃないですか。今更ですけど」

「いや、こういうのは雰囲気が大事なんだよ。コルクでないワインは邪道なり。この記念すべき日に買うワインにふさわしくない」

「1600円のワインで何をぬかしてるんですか」

「仕方ない。箸で開ける」

「雰囲気どこいった」

「箸をコルクに刺して、テコの原理でどうだ。おりゃ」

パキッ

「はい」

「折れるよねそりゃ」

「先っぽがコルクに埋め込みましたが」

「じゃあフォークだ」

「無理しないでコルク抜き買ってきましょう?」

「いやいけるいける」

グッ

「あ、いけてる」

「ほらほら、ちょっとずつコルクが上がってる」

「みょーんって擬音がぴったり」

「おし開いた!」

「フォークが変形してエヴァのロンギヌスの槍みたいになりましたね」

「尊い犠牲だね、やむなしやむなし。それよりほれコップ」

「あ、ありがとうございます。てコップですか。ワイングラス無いんですか?」

「湯飲み茶わんよりましでしょ」

トクトク

「全く。雰囲気も何もないですね。とりあえず貴方も一杯」

トクトク

「さんくす。ではでは」

「はいはい」

「30代もがんばるぞ俺ー」

「はっぴーばーすでー」

 


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