これはレオス・キャピタルワークスという会社のCIOが今回のオリンパスの事件に寄せて書いたコラムである。これからの人生を歩いていく際にも応用できる内容だと感じ、興味深く読んだ。ある意味、「備忘録」。それにしても・・・オリンパスの一眼レフを使っている身としては、やっぱり不愉快な事件だ。
(ここから引用)
Not release the ball
レオスを創業した時に私の友人の弁護士に研修をしてもらいました。その時に「もし外部に公表をしたら場合によっては会社が倒産をしたり免許が剥奪されるかもしれない情報を入手した場合にそれを外部にディスクロするかどうか」という命題について議論しました。私は迷わず、潰れてもいいから出す、そして社員にもそう行動しようという話をしました。それは結果的に顧客や社員を守ることになり、ひいては自分を守ることになると信じているからです。傷ついてもまた始めからやりなおせばいいのです。もちろん会社を潰すわけにはいかないのですが、とにかく情報を共有して悪い情報は早めに出すことを徹底していれば、逆にそうそうつぶれることはないのではないかと信じています。
リーマンショックで多くの企業が倒れ、傷付き、廃業したり倒産したり、私の友人の起業家も多くの人が傷つき酷い目にあいました。でもその中でいま現在復活した人と逮捕されたり海外に逃げて帰れなくなった人の最後の最後の分かれ目はノットリリースザボールではなかったかと思います。ノットリリースザボールというのはラグビーの反則で、タックルをされてもボールを離さないことでペナルティゴールを取られることです。完全に失敗をした時に、成功していた時の自分の財産や資産や権力を守ろうとバタバタしている行為は倒れているのにボールを離さない行為に等しいわけです。もちろん、倒れないように必死に粘ったり頑張るのはよいのですが、倒れてしまった以上、ボールは離さなければいけません。よい意味の開き直りが必要ですね。
私は今日のオリンパスの事件をみながら、ここにもまたもう倒れているのにボールを離さない人達がいるのを目の当たりにしています。「お前はすでに死んでいる」と言われているのがわからないでしょう。ウッドフォード氏が会社にとって相当打撃を与える情報を持ってきた時、それを開示するのではなく隠すという方向で一致団結をした段階で、オリンパスの取締役会は役割を果たしていないといえます。前社長が取締役全員に疑惑のM&Aに対する問題提起をした後に、菊川会長からの手はずで「独断専行」という名目で、前社長に発言機会を与えずに全員一致で解任をしたという行為そのものが異常そのものであったと思います。おそらくここを隠せば逃げ通せると思ったのでしょうか。でも結果的にここでまともな審議をつくさなかったことが会社の寿命を短くし、顧客や社員を追い詰め、また本人もその意思決定をめぐって大きな法的リスクを負うということの想像力が欠如していたのはいかにも残念なことです。
(ここまで引用)
人生が進むにつれ、人は保守的になってゆく。イイ年をして失敗するのもコワい。でも、もっと見苦しいのは倒れてもボールを離さないことなのだなと思った。潔く手放す姿は、むしろカッコいいのかもしれない。そこから立ち上がった姿には後ろから光が当てられているかもしれない。