入 梅 陰暦では、夏至を中心として、約30~40日間を“梅雨の期間”とする。この雨期に入った最初の日を「入梅」とします。今年は、暦どおりに梅雨になったわけです。
世の人の見付けぬ花や軒の栗(芭蕉)ー かって、農村部では、各家々にあった栗の木も、昨今、ほとんど、なくなりました。巨木になるので嫌われたようです。
栗の花 咲き満つ樹間を 椋鳥の 子等さんざめき 巣立ち行たり ー夢蔡ー
▲黄白色の穂状の花。これは、すべてが“雄花♂”です。少し上向きかげんに咲き出した後、穂状になって垂れ下がる。この房状の集合体は、生命を維持せんとする迫力に満ちております。
栗の花 白連獅子(しろれんじし)の 梅雨(つ)入りかな ー夢蔡ー
▲ 雄花の穂が、房状に垂れ下がった枝の基部に、“雌花♀”が鎮座しております。雌花は、三個の子房を持っている。(雌花の実際の大きさは、この時点で、径は、約3ミリ程度)▲写真奥に拡大された雄花の花粉が見えます。
ー栗は、縄文時代(約1万6000年~3000年前)には、我が祖先の「主食」の一つであったようです。遺跡から土出のクリのDAN分析では、優良種を選んで栽培したといわれております。 ー団栗などの広葉樹の実のなかで、栗は抜群に風味よく美味です。今日まで一般に食べられいるのは、栗だけです。
▲ 栗を利用するのは、人間だけの特権ではありません。私は、ハナモグリの甲虫(こうちゅう)であります。花粉類を主食としております。
▲ 豹 紋(ひょうもん)蝶は、雄花の奥に口を刺して蜜を吸います。モンシロチョウのヤワナ口先では出来ません。ー私たちは、栗の花にとっては、媒酌人であります。ー 雄花を離れる時に、雌花にそっと花粉を届けております。
瓜食めば 子ども思ふゆ 栗食めば まして偲はゆ いずこより 来たりしものぞ まなかいに もとなかかりて 安寐し寝さな (万葉巻 5-802 山上憶良)
ー「ウリを、栗を食えば、子どもの事がしきりに思い浮かぶ。目にチラついて、安眠も出来ません。」
万葉歌人に、こんな哀調のある歌を作らせたのも、昆虫の目立つことのない努力あったからであります。 【共生】だとトサ・・・・
----了ーーー
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