おまえは誰よりも強い毒になりたいんだろう
口に含まずとも触れるだけで命を焼いてしまうような
誰よりも強烈な毒薬になってみたいんだろう?
おまえの言ってることは誰でも一度は夢に見ることさ
おまえのように誰かを殺したいと思うことは誰でも一度は考えてみることさ
満月や白いシャツを言い訳にして
みんな一度は殺してみたいとそう思うものさ
教会や、校舎や、駅前や陽の当たる大通りで
みんな一度はそうしてみたいと焦がれるように思ってしまうものさ
おまえは誰よりも強い毒になりたいんだろう
おまえの一日に降り積もる影を焼き尽くしてしまいたいんだろう?
そうしていればかなうと考えているみたいにずっと壁の方を向いて
浮かび上がる名前に届かぬ殺意を張り付けているんだろう
おまえ自身のように封じ込められた誰かの死体が
おまえのドアを叩くことを待ち望んでいるんだろう?
そうすればおまえがいま口に含んでいるスナックだって
とびきり上等な御馳走に化けるんだろう
誰よりも強い毒になればいい
誰よりも強い毒になって
思わずすれ違ったものたちを殺し続ければいい
毒だからいくら殺したって誰からも責められない
毒ならば認可された宿命のようなものだから
咎められない殺人のままでいつまでも生きていられるさ
そして、そう
同時に同じだけ死んでいく自分自身を
気付いて惜しむ頃にはもうすべてが遅いのさ
ほころびた内臓にジャンクフードを注いで
鮮やかに高笑いするおまえの姿がおれには見えるのさ
そして、そう
誰よりも強い毒になって
本当にひとりになるのさ
誰よりも強い毒になってしまったのなら
そいつはきっと仕方のないことさ
すれ違うことを望むことが出来ないのなら
勝利だけがある戦場でおまえは毒であり続けるのさ
おまえは誰よりも強い毒になりたいんだろう
口に含まずとも触れるだけで命を焼いてしまうような
誰よりも強烈な毒薬になってみたいんだろう?
そして高みから見下ろし続けるのさ
絶対に手が届かなくなったいくつかのものを
自ら遠ざけたせいで届かなくなってしまったいくつかのものを
ほころびた内臓にジャンクフードを注いで鮮やかに高笑いするおまえの姿がおれには見えるよ
そうだよ、それは、本当は淋しいことなんだ
だけど殺戮の快楽にすべては麻痺してしまって
すべてに飽きてしまうまでそれには気付けないんだ
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