失くしたナイフ
音も無く過ぎ去ったものたちが語らなかったものを洗いざらいぶちまけていく明け方の夢、目覚めた時ベッドのヘッドに食い込んでいたサバイバルナイフ、それは俺のお気に入りのものだったがそれが...
炎が喚く
漂白された死の概念が脳髄に内訳を差し込む頃、路面電車のリズムに悲鳴が混じっている気がし...
frantic
朦朧とした午後には腐乱死体の夢を見て、俺の指先はとめどない記憶の中で踊る、安物の名前ば...
年月など関係ない、人もモノもただそこに存在しているだけなのさ
名も知らぬ魚が、水面で跳ねる夢を見た明け方、天気は雪が降るかもしれないと、あくまで可能性の話、思考のどこかにセロファンが挟まれているような、澱んだ水のような目覚め、その時俺の脳裏に...
いつかも歩いたその道を
古い、小石をモザイクタイルのように散りばめたセメントの路面で、五百円硬貨程度の大きさの蝸牛が踏み潰されている、パン粉みたいに砕けた殻と、透明な血を滲ませた肌色の―ぐしゃぐしゃになっ...
出来るだけ積み上げるんだ、終幕の景色はとても高いところにある。
無機質なノイズの跳弾、ペールギュントのリズムにも似て、レストハウスの廃墟の中で、シンパシーの渦に巻かれる、行きつ戻りつする時間、現実なんか参考にならない、リアルな時の捉え方は、定石...
血の動乱
傾げた頭の中で喀血する自我、途方も無い明滅の中で見る闇の圧倒的な密度、発電機の唸りのようなわだかまりが反響する時、鋭角な四隅の中心で巻き起こる直感の渦、俺は時々肉体の存在を忘れる、...
Bonds
https://www.youtube.com/watch?v=D5rDUcWIDcg境界線の死体の上にベタベタと張られたシール散...
夜に裂ける
寝床に沈み込んで壊死した夢が肉体に浸透して悪い気分になる、細胞の拒否反応、対応策の無い流行風邪みたいなさむけと身体の痛み、何も起こってはいないのに酷く摩耗している、油の切れた機械に...
スイッチを切れ、稼働音は邪魔にしかならない時だってあるさ
掘削機が強固な岩盤を削り続けているみたいな理由の無いプレッシャーが精神を脅かしていた、午前のまだ早い時間だったが俺はすでにその日の終わりを感じ始めていた、その感触をどんな風に説明し...