ハイウェイの彼方に砂漠がある、その砂漠の彼方にはきっと世界の終わりがあって
キリストが壊れた天秤を抱いてぼんやりと考えごとをしているんだ―君はキリストに近づいてはならない、後ろから覗き込んで、「何をぼんやりしているのですか?」などと、尋ねたりしてはならない―ぼんやりしているキリストはきっと何か、途方も無い気分を抱えているに違いないから
おんぼろのプリマスに乗って、ハイウェイの彼方の砂漠を見に行こう、そこには何も無いからきっとすべての事を見ることが出来る
世界の終わりがどうなっているかなんて今まで知りたいとも思わなかったけど
いまはアラク・ヴァグラミアンのようにそこに辿り着きたい―そこにはきっと「そこから夜」のような進めないラインがあって―ヒルコ(神様の捨子)たちが向こうからこちらを眺めている、彼らは人間になりたがっていて
世界の終わりのあちこちにほころびを作るものだから、ガンジーがそれをいちいち修正しながら歩いている
いつかはそこにいたアリストテレスは今日は衣の着心地が悪いらしくて
とある雲の上で引きこもっている…いつぞや秤を探していた女のことを思い出しながら
不思議なもんで
時々その女の安否が気になるらしい
ところで世界の終わりまで走るには相当量のガソリンが必要になる見込みだけれど、砂漠の近くにはガソリンスタンドが一軒も無い―舗装された道があるのかどうかも不明―終わりに向かうのに舗装される道はたいていは無いものさ
ハイウェイの彼方に砂漠がある
ハイウェイの彼方に砂漠がある
プリマスに乗ってさ、この世の限界を見に行こう、そしたらきっと何かすっきりするさ
帰って来れない、なんて
意外と
素敵なことなのかもな
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