減光の刹那から始まる気狂いをなだめる為の契約が必要、ショット・ガンが脳漿を撒き散らす幻想、不精の爪で肌を掻いて俺の身体は赤線だらけ、叫びを選択しない衝動は、そう、綿雪のように静かに積もるばかりさ…考え込むことが得意だからすぐに撃たれてしまう、考え込むことが得意だからすぐに狙われてしまうのさ、イマジネーションは、そうだよ、本当は停滞からしか生まれてくることは出来ないというのに、軽いものを接着するボンドみたいに速乾性ばかりを求めては…左脚のつけねからメスそのものを追及するとき、左手は制限の小袋の封を開けている、本能に安心出来ない理由が世界には溢れている、溢れて、漏れ出している、汚れた机を綺麗に拭くのはいったい誰の役目だい、こぼれたミルクを冥界に返すのはさ、誰も理性の正しいプロセスをきちんと踏もうとはしない、そうしないと壊れてしまう小さな世界を、確かに肌で感じたことがあるんだろう、窒素充填された果汁の飲料をシェイクして成層圏まで打ち上げたいと笑うインテリジェント気取ったメス、左側の脚のつけねでしか正しく感じることが出来ないらしいんだ、俺は舌だって使ったのだ、そのとき、確かに見ることが出来た…正しく機能しない本能が丸い小さな石のようにそこにあることを…そんなことがあると俺の夢はその先を拒否するんだ、だけどそんなことばかり気にしてはいられない、もちろん俺はきちんと進行したさ、だけどそれは欲望じゃなくて意地みたいなもんだ、そうさ、本能で生きて行くことなんてそんなに大事じゃないはずさ、少なくとも二〇一一年の今となっては…執拗なまどろみの寸断のあとに翌日が窓ガラスにへばりついて圧力をかけてくる、明けない夜はない、明けない夜はないぞ、明ける夜は、明ける夜はまるで霊魂のようだろう、霊魂のようにネクストを彷徨い続ける、だけど霊魂に行けるネクストなんて大概限られている、留まるということが霊魂の宿命であるのなら、だったら彷徨うしかないのさ、だったら彷徨うしか…ネクストのない彷徨い、ネクストのない彷徨いだけがそこにはあるんだ、ネクスト、いまこの時しか感じることの出来ない生き物に、そんなもの果たして存在するのか?ある、というのなら、それはどんなふうにして確かめることが出来るのだ?逆にだ、先の保証がなければ動くことは出来ないのか?確かに保証されるゴールがなければ動くことは出来ないのか、そんなの小さな話だと思わないか?生きてるうちに得られる悟りなんか本当に欲しいか?本当に、欲しいか…?混迷と混沌と停滞と悪足掻きこそがこの俺の安泰、この俺の心を安らかにさせる騒ぎさ、生きてる限り確かな感覚など手に入れたくはない、生きてる限り一〇〇万の騒ぎの中で呆然としていたい、それこそが俺を進行させるのだ、判るだろう、先の判ってる道なんか何度も歩きたくはないだろう?知りえたものには気晴らし以上の意味なんかないさ、俺はそう思っているんだ…生まれる為の苦しみの様な狂気に溢れる夜毎、叫びを噛み殺すたびに胃袋が膨張して固まるような感覚の発芽、腹を裂けばきっと腐った声が、無数の腐った声がアメーバのように這いだしてくるのさ、成長とはいっそう近くに死を感じることだ、いっそう近くに死の感覚を垣間見ることだ、心当たりがないだなんて誰にも言わせやしないよ、そのことを理解出来ない生き物など、本当は一匹もいないはずなのさ、本当は、そう、どんな生き物だって本当はきっと、死を見つめることで生を覚えているはずなんだ、見つめて、そうだ、震えながら近づいてゆくのだ…近づいて触れた時、世界は塗り替えられるだろう、漆黒か、白色に…おお!また夜明けが来る、また…また夜明けが!いったいどれぐらいの時が流れたのか?混迷と混沌と停滞と悪足掻きが濁流のようにこの身体を嚥下していく間に…震えろよ、畏怖が、恐怖がなければ触れることは出来ないぜ、人生は恐怖だろう、運命は恐怖だろう、暗闇を見せている黒幕は実は未来だ…生きる!生命は舵のない船の様なものだ!乗り込んだ、ことも、始まった、ことも、もう、やり直しは効かない!甲板に立って、高い波の向うを見つめていると、定義することが困難な感情が幅広の刷毛で塗られるみたいに心に忍び込んでくる、舵がないことで…そこに立っているという現在をどんなふうに呼べばいいのか判らないのだ、立っているのか、立たされたのか、選択したのか、選択の余地があったのか、なかったのか、希望なのか、絶望なのか…ただ立って波の向うを眺めているというそれだけのことを、舵がないという一点がフォーカスを曖昧にする、海は激しく、猛烈な波をいくつも燃え上がらせる、例えるならそんな調子だ、例えるならいつだってそんな調子だ、そんなことになんらかの傾向を見出さなければいけないのか?整頓された感情に本能は宿ることはないよ、机の上だけで吐き出されたものからは涼やかな内臓の臭いがしない、内臓の臭い…もしも俺にこだわれるものがあるとすればきっとそれさ、もしも俺に傾向のようなものがあるとしたら…この両手は己が内臓に触れたい、手首まで突っ込んで温度を感じたい、総毛立つような感触、いつか俺がそんなことが出来たと感じるとき、指先に感じるものは、生きているのだろうか?ドクドクとした血と、その他の体液の流れを感じるだろうか?それともじっとりとしたままで、草臥れて動かないのだろうか?体内に思いを馳せること、体内に思いを馳せること、体内に思いを馳せることがネクストを予感させる、ネクストは曖昧なものでなければならない、曖昧なものでなければそれは完成している、それはもうネクストとは呼べない、完成させたいわけじゃない、今もっともふさわしいやりかたで吐き出したいと考えているだけ、身体が最も欲しているやりかたで、最も近づいたと思いたいだけ…そもそも近づく以上のことなど人ごときに出来ることではないのだ、そうさ、左脚のつけねからじゃなければ感じられないメスを攻略するようにさ…なあ、生命とは、魂とは、いったい何なんだ?触れることのない臓腑の様なものか?超自然的な暗闇の中で目を見開いて、吾身が亡霊になるのを見ている、その時間、声はどこにもエコーしない、それは放たれる声ではないから、発音される言語ではないから…未発達な胎児の群れのようにそれは零れてくる、すべてを救うことなんて出来ない、すべてを育むことなんて…選ばれなかったものたちは膨張して破裂していく、ごめんよ、ごめんよ、お前たちをすべて抱えるには俺の感情は脆過ぎるんだ、断続的な気狂いが俺を正気に引き戻す、そうさ、まるで観念的なカルテを目の前でばらまかれているみたいさ、柔らかで湿気た破片を浴びて、鼻が曲がるような臭いはなぜかどうしようもなく哀しくて、だけど泣けない、泣けない、泣けない、俺は泣けない、俺はそれを認めるわけにはいかない、俺は涙とともに在るべきではない、涙とともに在るべきでは…それは許されるための理由みたいなものだから…感情的な詩人は笑えない道化、心の底で死んだものたちがポエジーになるのに、なぜ生身のままで曝そうとした?すぐに生まれるものは育まれない、すぐに生まれてくるものたちは育まれる運命にないぜ、吐かれた唾みたいに路の上で渇いてゆくだけだ、インパクトなんてヒロイズムと同等の滑稽で醜い代物にすぎないさ、すぐに勃起するイチモツと同じ事さ、人気のない路地でしか輝けない哀しみになど俺はなりたくない、俺はなりたくは…膨張する虚ろな影、最早昼も夜もないある一点で、試すみたいに重力を変えるなにかがくるぶしを噛んでいる、そのせいで俺の歩行はほんの少しいびつな影になる…ハロー!噛みつきやがれ!
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