今日の参議院厚生労働委員会で、民主党を代表して質問に立ちました。
午前10時から始まった委員会。案件は「大臣所信に対する質疑」です。民主党は、足立信也議員と私の二人。それぞれ50分間の質問時間をいただきました。
質問項目は以下の通りです:
- あるべき雇用の姿
- 非正規雇用対策の中身
- 社会保険の短時間労働者への適用問題
- 社会保険の適用逃れの実態と政府の対応策
- 医療分野における情報通信(ICT)の利活用
- 東日本被災地における女性求職者向け雇用対策
50分時間があると、結構な項目をカバーできるものです。あまり時間を気にせずに、じっくりと聞きたいことを聞き出すことが出来ました。
質問の詳細は下記に譲りますが、特に重要なポイントを三つ。
まず、社会保険の適用逃れ対策については、年金事務所に適用逃れを通報した労働者が解雇や雇い止めに遭うような悪質事例があることをあらためて指摘。労働者が適切な保護を受けられるようにマニュアル等を整備し、年金事務所が都道府県労働局との連携を適切に行うよう求め、政府からの約束をいただきました。
次に、医療分野のICT利活用の促進については、昨年視察に行った隠岐の島の島前病院における活用事例を紹介しながら、遠隔医療やカルテ&レセプトの電子化などが特に医師不足に悩む地域での医療の確保に有効であることを訴え、小宮山大臣から「今後積極的に展開を促していきたい」旨の言質を得ました。
最後に、被災地の女性雇用については、ミスマッチ解消のためには雇用の開拓とスキルの養成をセットで展開することの重要性を指摘。特に女性向け雇用の開拓については、医療や介護、教育や育児などの分野で積極的な求人開拓を行っていくと共に、在宅型テレワークの促進を検討することを提言し、今後検討を進めてもらうことになりました。
質問終了後、小宮山大臣からは「石橋さんの質問は建設的だから、質疑してて楽しいね」と言って頂きました。ありがとうございます。今後とも頑張ります。
ちなみに、次の質問は、来週の水曜日(3月28日)、沖縄及び北方問題に関する特別委員会で。沖縄振興特別措置法と駐留軍用地変換特別措置法の審議です!
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参議院厚生労働委員会 大臣所信に対する質疑(2012年3月22日)
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民主党の石橋みちひろです。足立委員に続きまして、大臣所信に対する質疑をさせていただきますので宜しくお願いいたします。
はじめに、雇用対策についての基本的な考え方、あるべき雇用のビジョンについて大臣の考えをお伺いします。
大臣は所信の中で、「日本の再生のためには、経済成長とともに社会が安定し、将来に対する希望をもてる環境をつくることが重要」であって、「分厚い中間層の復活を目指して雇用の創出と、質の向上に取り組む」という決意を述べられました。私も全く同感であります。
・そこでまず、そのような環境を実現することが出来る「質の高い雇用」というのは、具体的にどういう雇用なのか、われわれはどのような「雇用の姿」をめざしていくべきなのか、大臣の政治家としてのビジョンをぜひお聞かせ下さい。 (小宮山 大臣)
・まさにディーセントワークをめざしていくことが重要だと思いますが、やはりディーセントな雇用というのは、いわゆる「正社員」または「正規雇用」という形態であって、全ての労働者が正社員・正規雇用になることをめざす、ということで宜しいのでしょうか? (小宮山 大臣)
ぜひ、「雇用形態の問題」だけでなく、「生活賃金の確保」や、「キャリア形成の機会」、「社会対話への参加」そして「ワークライフバランス」の確保なども含めて、トータルな形であるべき雇用を考え、一緒に追求させていただきたいと思います。
それでは、今のお話を受けて、次に非正規雇用対策について伺います。
・分厚い中間層の復活に向けて、来年度予算の一つの大きな政策目標が「非正規雇用問題への対応」だと思いますが、具体的にどのような対策を実行していくご決意でしょうか。これだけは必ず実行するという、最も重要なものをいくつかお聞かせ下さい。 (小宮山 大臣)
今、お話があった中で、特に社会保険、とりわけ厚生年金の適用拡大問題について伺います。
・あらためて確認したいと思いますが、そもそも「厚生年金」というのは誰のために創られた制度なのでしょうか? (藤田 政務官)
・しかし現在、全ての被用者が厚生年金に加入しているかと言うと、そうなっていないわけです。その原因はなんだとお考えでしょうか? (藤田 政務官)
・つまり、本来、厚生年金に加入すべき被用者、その多くが非正規の短時間労働者ですが、そういった方々が国民年金に加入せざるを得ず、逆進性の高い保険料に喘ぎ、滞納し、将来、無年金または低年金になる不安で苦しんでいるという現状こそが問題なのであって、まさに早急に改善しなければならないわけです。ぜひしっかりした対応をお願いしたいと思いますが、また法案が上がってきましたらじっくりと審議させていただきたいと思います。
さて、社会保険の適用拡大が重要なテーマである一方で、本来、すでに適用されているはずの労働者が、事業所が適用逃れをしているために適用除外になってしまっているという問題への対応も大変重要なテーマです。
・まず、適用逃れの現状と、政府の対応についてご説明下さい。(藤田 政務官)
先般、民主党の厚生労働部門会議で、実際に適用逃れの被害にあっている非正規労働者やその支援を行っている労働組合の皆さんからヒアリングを行いました。その際、さまざまな悪質な適用逃れの実態をお聞きしたわけです。いくつか例をご紹介しますと:
- 「年金事務所の指導が入った途端に、労働時間や賃金を減らされた」
- 「ようやく社会保険に加入出来たと思ったら、未納の保険料2年分50万円を一括で支払え、分割なら年7%の利息をのせて返せと言われた」
- 「ようやく加入してもらったら、会社負担分の保険料も賃金から控除されている。社労士に相談したら、そんな会社はいくらでもあると言われた」
などなど。そして最も卑劣なのは、適用逃れを年金事務所に通報したことによって、通報者が解雇されたり雇い止めされたりするケースです。
・そこでお伺いしますが、厚生労働省では、年金機構や年金事務所を通じてこのような悪質な事例をどこまで把握出来ているのでしょうか? 調査などは行っていますか?(藤田 政務官)
・万が一、通報者が解雇や雇い止めなどの不利益を受けた場合、「公益通報者保護法」の適用は受けられるのでしょうか? (藤田 政務官)
・では、全ての年金事務所において、通報者にそういう事態が発生した時には、速やかに都道府県労働局(総合労働相談コーナー)と連携して、通報者がしっかりとした法の保護を受けられるように対処するよう、あらためて周知をかけるなり、マニュアルを整備するなりして対応していただきたいと思いますが、宜しいでしょうか? (藤田 政務官)
では次に、医療・健康対策について伺います。
大臣は所信の中で「地域の医師不足問題に着実に対応するとともに、適切な医療・介護サービスの提供により地域で安心して暮らすことができる体制の構築に取り組む」という決意が述べられました。大変重要な課題だと思っています。
私、昨年の秋、島根県の隠岐の島に行って参りました。お手元の資料をご覧ください。島根半島の沖合、約60キロに位置しています。その中で、西ノ島というところにある「島前病院」に視察に参りました。
「離島の病院」というある種のイメージを持ってお邪魔したら、びっくりさせられました。もう何年も前から、一生懸命に情報通信技術を導入して、診療情報システム化や遠隔医療に取り組んでおられたのです。
院長先生に「離島の病院なのに凄いですね」とお聞きしたら、怒られました。「離島の病院だからこそ、ICTを活用して島民の命を守っているんじゃないか!」と。
本土までは、高速船で片道約1時間20分。運賃片道6千円です。波が高いと止まります。フェリーだと運賃は半額ですが、片道2時間半から4時間かかります。そういう厳しい環境の中で「島民に何かあったら、この病院で命を守らなきゃいけない、それをICTが助けてくれるんだ」とおっしゃった。大変、感銘を受けました。
しかし問題は、この病院のある西ノ島には、まだ超高速ブロードバンドが整備されていないんです。1.5メガのADSLなんです。島民の命を守るために導入されたICT機器が、フルに活用出来る環境が整っていないわけですね。
・そこでまず本題に入る前に、総務省に確認させていただきたいと思いますが、超高速ブロードバンド基盤整備の進捗状況はどうなっていますでしょうか? (総務省 桜井基盤局長)
・総務省が進める「光の道」構想では、超高速ブロードバンドの利活用促進において医療分野が一つの柱になっています。これはどういう理由からなのでしょうか? (総務省 桜井基盤局長)
ありがとうございました。西ノ島町も、今年度の基盤整備事業の交付を受け、ようやく光化が進められると聞いています。一日も早く、島前病院でICT機器をフルに活用していただけることを期待しています。
・では厚生労働省としては、医療分野におけるICT利活用の効果・効用をどのように考え、推進していく計画か、ご説明をお願いします。(藤田 政務官)
・遠隔医療については、当初、医師法20条に抵触するのではないかという懸念があってなかなか展開が進まなかったと理解しています。現在は、「医療機関同士」でも、「医療機関と患者さんとの間」でも、地域の実情に応じて積極的に利用が出来るという理解が得られていると考えて宜しいでしょうか?(藤田 政務官)
・今後、遠隔医療を積極的に展開していくためには、やはり何らかのインセンティブが必要だと思います。昨年8月、IT戦略本部で決定された「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に係る対処方針」で、「遠隔医療に関するインセンティブの付与」が打ち出されていますが、厚生労働省としてどのように進めて行くのかお聞かせ下さい。(例:新年度診療報酬改定における取り扱い、等) (藤田 政務官)
・では、ぜひ小宮山大臣に、これまでの議論を聞いて頂いて、どのような感想をお持ちになったか、来年度以降、医療分野におけるICTの利活用を促進していっていただけるのか、決意をお聞かせいただけますでしょうか?(小宮山 厚生労働大臣)
最後に、東日本大震災で被災された方々の雇用問題について伺います。先週の予算委員会で、同僚の川合議員がこの点について質問されておりますが、私は特に女性雇用に絞って、さらに深掘りしてお伺いしたいと思います。
・まず、被災地で、再延長された失業給付が切れてしまった失業者が1月から徐々に拡大していますが、その方々、特に女性の求職・就職状況はどうなっていますでしょうか?(牧 副大臣)
・被災地からは、特に女性の雇用情勢が厳しいという声が聞こえてきているわけですが、厚生労働省としては女性雇用がなぜ厳しいのか、女性に特有の課題についてどう把握し、対策を考えているのでしょうか? (例:家庭の状況、労働条件、通勤範囲の限定、経験・スキル不足など) (牧 副大臣)
・そういった特有の課題を持つ女性求職者への対応を強化するためには、専門のマザーズハローワークの拡大、もしくは女性求職者専門相談員の配置・増員などを進める必要があると思いますが、いかがでしょうか? (牧 副大臣)
・やはり、女性が働きやすい分野で求人を拡大し、ミスマッチを解消することが急務だと思います。例えば、医療・介護などの福祉分野、教育や学童・幼児保育分野などは求人も多く、女性雇用の拡大・促進が望めると思いますが、これらの分野で具体的な取り組みは進んでいますでしょうか? また、それに併せた職業訓練の提供はどうでしょう?(牧 副大臣)
・もう一つ、家を離れられない事情のある求職者のために、在宅型テレワークの促進というのも有力な選択肢になると思います。厚労省は、もともと在宅型テレワークの推進には消極的ですが、この際、被災地の雇用促進のために、民間とも連携して積極的に活用してみてはいかがでしょうか? (牧 副大臣)
ぜひ、いろいろな選択肢を追求して頂いて、女性求職者の方が一日も早く安定的な職を見つけ、生活再建を果たして頂けるよう努力していただくことをお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
(了)