年末、故郷の松江に帰ってきています。元日には東京に戻る予定なので、ごく短期間ではありますが、久し振りにゆっくり思索にふける時間がとれたので喜んでいるところ。そう言えば、1年前は、12月29日の深夜まで、社会保障と税の一体改革論議が続いていました・・・。
さて、思索の中心は、当然ながら民主党の今後・・・というよりは、中道リベラルの政治をどう再構築していくかということです。
年末のご挨拶で各地に伺ったときにもお話ししたのですが、今回の総選挙、結果だけ見れば「保守の大勝利」に終わってしまったわけです。安倍総裁率いる自民党、石原&橋下コンビが率いる維新の会、そして渡辺代表率いるみんなの党 ----- 政策的には、中道右派というよりは、中道をすっ飛ばした右派の皆さんが指導層の中心になっている政党が圧倒的多数の議席を獲得。各論では若干の違いはありますが、基本は、ごく小さな政府による「自助の政治」を志向する勢力です。
果たして、国民の皆さんが本当にそれを望んだのかどうかは定かではありませんが、そういう政治状況が出来上がってしまったのは事実。だからこそ、何としても、平和と社会正義の確立をめざし、共生社会を志向する中道リベラルの再構築を図らないといけません。
まずは、「民主党政権がなぜ失敗したのか?」の検証をしっかりやっていくことが必要です。私自身、2年4ヶ月前にはじめて民主党国会議員の一員として永田町にやってきて、「なぜこうなんだ?」とびっくりする局面に、多々、接してきました。特に、小沢さんのグループとそれ以外の皆さんとの対立の構図をなぜ最後まで突き崩すことができなかったのか・・・。それらのことを、あらためて紐解いて検証してみる必要があると思うわけです。
そして、今日、ある本が、その答えの一端を私に教えてくれました。その本とは、『証言 民主党政権』(薬師寺克行著、講談社)です。
政権交代時、朝日新聞の政治部長をやっていた薬師寺克行さん(現・東洋大学教授)が、菅直人、岡田克也、北澤俊美、前原誠司、枝野幸男、福山哲郎、松井孝治、片山善博という、民主党創設期以来、民主党の中枢にいて政権交代を導いた中心人物と、政権交代後、民主党政権の中心にいた当事者たち8人に直接インタビューして、政権交代に至るまでの経過や、政権交代以降の内実をあぶり出してくれています。
詳細は、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいと思うのですが、私が最も興味を持ったのは2点。一つは、民主党マニフェストの変節。もう一つは、マニフェストにおける「統治機構」の扱いと党内におけるその内容の共有です。
簡単に言えば、まず、民主党のマニフェストが、2006年を境に方向性が変わってしまったということ。2006年というのは、4月に小沢一郎氏が代表に就任した年です。その辺りから、マニフェストの中心が、明確な財源の裏付けと実現可能性の保障のない、新らしい政策項目のショッピングリスト的なものに変わっていってしまったというのです。
そして、本来は、政権交代が実現した後に具体的にどう(自民党時代の)統治機構のあり方を変えるのか、というのが大きな課題だったはずなのに、2009年の時にはその部分の議論がきちんと党内で共有されておらず、政権交代後に政府に入った政務三役たちの間でもそれをちゃんと理解していた人は多くなかったというのです。まして、大量に当選した新人議員には全くそのことが伝わっていなかったのですね。
この本を読んで、なぜこの2年数ヶ月あまり、党内がああいう状態だったのか、なぜ分裂という結果に終わってしまったのかということが、おぼろげながら見えてきました。今後、さらなる検証を進めていかなくてはなりませんが、「まず検証すべきは2009マニフェストと、それに至るまでの党内の議論の経過だ」という私の持論は、あながち間違っていなかったようです。