これからお話ししなければならない事は、私の悲しい別れ……胸も砕けんばかりに辛かった事です。私の深く愛していた第二の母ポリナが、イエズス様の招きに応じて修道院に入った事です。ある日私はポリナに向かって「私はこの世間を離れて、あなたと一緒に遠い沙漠に行きたい」という事を申しますと、ポリナは「私も同じ希望を持っているから、あなたが大人になるのを待って、一緒に行きましょう」と答えました。もちろんこれは実行される事ではありませんでしたが、小さきテレジアは真面目にこれを信じて喜んでおりました。ところがポリナは間もなく「カルメル会」に入るという事を、姉マリアに語っているのを聴いたときの私の心の苦しさ、悲しさ! 私はまだ「カルメル会」とは何か、少しも知りません。が、ポリナは私が大人になるのを待たないで、ある修道院に入って私と別れ離れるという事を悟っていました。ああ、せっかく第二の母として選んだこのポリナにもまた別れなければならないようになった、私の心はどれほどだったか、この瞬間に人生……すなわち絶え間なく続く離別と、苦しみに満たされているこの人生の一方面が、実際のままに現れました。それで私は熱い涙を流しました……まだその時分、私は犠牲を捧げる愉快を知らない、至って弱い者でありましたから、私の力を超えるように見えるこの苦しみを死なずに耐え忍ぶことが出来たのは、全くの恩寵であると思います。
読んでくださってありがとうございます。yui
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