皆様こんばんは。
本日は第20期女流棋聖戦準決勝、星合志保初段(黒)と宮本千春初段の対局をご紹介します。

1図(実戦黒65)
ここまで、競り合いはありましたが、比較的穏やかな進行でした。
しかし、黒1の仕掛けから、局面が動き出しました。
この手は所謂「形の急所」で、白の眼を取りながら、黒Aの切りを狙っています。
白△は7子もある一団ですが、それを攻めようというのです。
星合初段、気合が入っていますね。
さて、ここで宮本初段は、どう対応したでしょうか?
Aの切りを恐れて守るようでは、プロ失格です。

2図(実戦白66~白76)
白1から反撃しました!
白11までと黒を分断し、左下の黒にプレッシャーをかけています。
前図黒1を決行した星合初段としては、この進行は当然想定内です。
この後、何をやろうというのでしょうか?

3図(実戦黒77~黒81)
黒1の頭突きから、黒3と空き三角の切り!
依田九段に怒られそうな筋悪です(笑)。
もちろん、星合初段としてはそんな事は承知の上で、白△を取ってしまえば関係ないと言っているのです。
1図から本図にかけての黒の打ち方は、空振りが怖いので、普通のプロは躊躇するでしょう。
まだ19歳の星合初段、怖いもの無しですね!
さて、ここで私なら、白Aかその周辺しか考えないでしょう。
ところが・・・。

4図(実戦白82~白88)
22歳の宮本初段も、気合負けしません。
白1と左下を打ち、黒2が来てから白3の動き出し!
何という頑張りでしょうか。
白7までとなって、なかなか死なないと主張していますが・・・。

5図(実戦黒89)
ここで、黒1がピッタリの「モタレ攻め」です!
右辺を突き破らせるわけにはいかないので、白は受けるしかありませんが・・・。

6図(実戦白90~白96)
白3までを利かし、黒4となると、白は苦しくなりました。
黒の石数が増えたため、白Aから中央へ出て行っても、眼ができません。
白5、7から必死に凌ぎを図りますが、生きが見えません。

7図(実戦白112)
しかし、星合初段は、白を丸取りに行きませんでした。
失敗すると全部生きられる危険があるので、実戦の方が分かりやすいと判断したのでしょう。
白△まで生かしたものの、白〇を取った上に、黒Aと切れば白✖も取る事ができます。
白が相当酷い姿で、これで黒断然良しと判断してしまったのは、止むを得ないかもしれません。
ただ、結果論になりますが、ここは白の全滅を目指すべきだったかもしれません。
それができていれば、後の悲劇が生じる余地はありませんでした。

8図(実戦黒113~黒117)
黒1から捌きに向かいました。
ここを無事に乗り切る事ができれば、黒勝ちが決まります。

9図(変化図)
前図の後白1と受けてくれれば、黒8までの予定でしょうか?
生きてしまえば黒AとBのどちらかに回れるので、黒勝ちです。

10図(実戦白118)
ところが、左辺を受けず、白1の強手がありました!
黒としては、左辺の手抜きを咎めたいのですが・・・。

11図(変化図)
黒1、3には、白4があります。
白6まで、黒△を取られて白地が大きく盛り上がります。
白Aの眼取りも狙われており、これでは黒、何をやったか分かりません。

12図(実戦黒119~白124)
そこで黒1から動きましたが、白4から1子噛み取られては、ちぐはぐな事になっています。

13図(実戦黒125~白132)
白8まで、隅だけでは1眼しかありません。
中央でもう1眼作る必要がありますが、次に黒A~Dあたりが考えられ、どれが良いのか迷います。
私の勘では、黒Bがしぶといのですが・・・。

14図(実戦黒133~白136)
しかし、30秒の秒読みですし、動揺もあったでしょう。
黒1と、粘りの無い手を打ってしまいました。
白4以下で仕留められ、白の逆転勝ちとなりました。
まさか死ぬ訳が無いと思っていた黒石が、死んでしまいましたね。
実は宮本初段は子供の頃、物凄い力碁だったのです。
最近は大人しくなったように見えますが、牙を隠しているのかもしれません。
決勝も派手な戦いを期待したいですね!
牛栄子初段との決勝は、12月8日(木)に行われます。
幽玄の間での解説は、私が担当します。
ぜひご覧ください!
本日は第20期女流棋聖戦準決勝、星合志保初段(黒)と宮本千春初段の対局をご紹介します。

1図(実戦黒65)
ここまで、競り合いはありましたが、比較的穏やかな進行でした。
しかし、黒1の仕掛けから、局面が動き出しました。
この手は所謂「形の急所」で、白の眼を取りながら、黒Aの切りを狙っています。
白△は7子もある一団ですが、それを攻めようというのです。
星合初段、気合が入っていますね。
さて、ここで宮本初段は、どう対応したでしょうか?
Aの切りを恐れて守るようでは、プロ失格です。

2図(実戦白66~白76)
白1から反撃しました!
白11までと黒を分断し、左下の黒にプレッシャーをかけています。
前図黒1を決行した星合初段としては、この進行は当然想定内です。
この後、何をやろうというのでしょうか?

3図(実戦黒77~黒81)
黒1の頭突きから、黒3と空き三角の切り!

依田九段に怒られそうな筋悪です(笑)。
もちろん、星合初段としてはそんな事は承知の上で、白△を取ってしまえば関係ないと言っているのです。
1図から本図にかけての黒の打ち方は、空振りが怖いので、普通のプロは躊躇するでしょう。
まだ19歳の星合初段、怖いもの無しですね!
さて、ここで私なら、白Aかその周辺しか考えないでしょう。
ところが・・・。

4図(実戦白82~白88)
22歳の宮本初段も、気合負けしません。
白1と左下を打ち、黒2が来てから白3の動き出し!

何という頑張りでしょうか。
白7までとなって、なかなか死なないと主張していますが・・・。

5図(実戦黒89)
ここで、黒1がピッタリの「モタレ攻め」です!
右辺を突き破らせるわけにはいかないので、白は受けるしかありませんが・・・。

6図(実戦白90~白96)
白3までを利かし、黒4となると、白は苦しくなりました。
黒の石数が増えたため、白Aから中央へ出て行っても、眼ができません。
白5、7から必死に凌ぎを図りますが、生きが見えません。

7図(実戦白112)
しかし、星合初段は、白を丸取りに行きませんでした。
失敗すると全部生きられる危険があるので、実戦の方が分かりやすいと判断したのでしょう。
白△まで生かしたものの、白〇を取った上に、黒Aと切れば白✖も取る事ができます。
白が相当酷い姿で、これで黒断然良しと判断してしまったのは、止むを得ないかもしれません。
ただ、結果論になりますが、ここは白の全滅を目指すべきだったかもしれません。
それができていれば、後の悲劇が生じる余地はありませんでした。

8図(実戦黒113~黒117)
黒1から捌きに向かいました。
ここを無事に乗り切る事ができれば、黒勝ちが決まります。

9図(変化図)
前図の後白1と受けてくれれば、黒8までの予定でしょうか?
生きてしまえば黒AとBのどちらかに回れるので、黒勝ちです。

10図(実戦白118)
ところが、左辺を受けず、白1の強手がありました!

黒としては、左辺の手抜きを咎めたいのですが・・・。

11図(変化図)
黒1、3には、白4があります。
白6まで、黒△を取られて白地が大きく盛り上がります。
白Aの眼取りも狙われており、これでは黒、何をやったか分かりません。

12図(実戦黒119~白124)
そこで黒1から動きましたが、白4から1子噛み取られては、ちぐはぐな事になっています。

13図(実戦黒125~白132)
白8まで、隅だけでは1眼しかありません。
中央でもう1眼作る必要がありますが、次に黒A~Dあたりが考えられ、どれが良いのか迷います。
私の勘では、黒Bがしぶといのですが・・・。

14図(実戦黒133~白136)
しかし、30秒の秒読みですし、動揺もあったでしょう。
黒1と、粘りの無い手を打ってしまいました。
白4以下で仕留められ、白の逆転勝ちとなりました。
まさか死ぬ訳が無いと思っていた黒石が、死んでしまいましたね。
実は宮本初段は子供の頃、物凄い力碁だったのです。
最近は大人しくなったように見えますが、牙を隠しているのかもしれません。
決勝も派手な戦いを期待したいですね!
牛栄子初段との決勝は、12月8日(木)に行われます。
幽玄の間での解説は、私が担当します。
ぜひご覧ください!