河野九段、敗れる

皆様こんばんは。
本日は、阿含・桐山杯　日中決戦が行われました。
河野臨九段と柯潔九段の対戦は、残念ながら柯潔九段の勝ちでした。
それでは、振り返っていきましょう。

なお、この対局は幽玄の間にて、本木克弥七段の解説付きで中継されました。
また、ニコニコ生放送でもご覧頂けます。



1図(実戦黒31、黒33)
河野九段が黒1、3と、右辺白に攻めかかりました。
攻めながら上辺の黒模様を盛り上げる作戦です。





2図(変化図)
白1～5と逃げてくれば、黒6あたりに打って、黒模様を完成させるつもりです。
ここから白が上辺に入って行く事は難しいでしょう。





3図(実戦白34)
ところが、実戦は白1とノゾキを打ちました。
所謂様子見の手で、黒の受け方を見てから、方針を決めようとしています。
こういう手を打つタイミングが、流石に上手いですね。
もし黒Ａと繋げば、白Ｂから包囲網を突破できますし・・・。





4図(実戦黒35～白36)
黒1なら、白Ａ、黒Ｂ、白Ｃの狙いが残ります。
黒Ｄと閉じ込められても、右辺白が死ぬ心配が無くなったので、白2と上辺の荒らしに向かいました。
白が上手く立ち回った感じです。





5図(実戦白56～黒61)
その後白1、3となり、上辺の白は凌げました。
白成功ですが、河野九段もこのまま黙って引き下がるわけにはいきません。
黒4、6から、右辺白に攻めかかって行きます。





6図(実戦白62～黒69)
白5、7で隅は生きましたが、黒8の両ノゾキが狙いです。
力尽くで白を分断に行きました。





7図(実戦白70～白84)
白は左右を分断されましたが、別行動でなんとかする予定でしょう。
白15まで、上手く立ち回ったかのように見えますが・・・あれ、右辺の白は？





8図(実戦黒85～白92)
黒1を1つ打ってから黒3と、右辺白に手を付けていきました。
白8の後、黒Ａなら白Ｂとスペースを広げてセキになりますが・・・。





9図(実戦黒93～黒101)
黒9にハネる手がありました。
次に白Ａなら黒Ｂと繋いで、4目中手で死んでしまいます。
白Ｂと取るしかなく、大きなコウ争いになりました。

ここはアマ五段レベルの死活なのですが、なんと柯潔九段は見損じていたそうです。
柯潔九段といえども、やはり人間という事でしょうか。
河野九段に大きなチャンスが訪れました。





10図(実戦黒115～黒117)
しかし河野九段、チャンスを生かせませんでした。
コウ立てに黒1、3の連打を選びましたが、これが敗着かもしれません。
黒Ａなどから、下辺での連打を目指したかった気がします。
実戦の黒1、3で、白を全滅させられれば良いのですが・・・。





11図(実戦白118～白122)
白1～5となって、凌がれてしまいました。
黒のコウ立てが空振りして、白勝勢です。

精密な読みで知られる河野九段ですが、本局では勝負所でミスが出てしまいました。
世界ランキング1位を負かすチャンスだったのですが・・・。

明日は、こども棋聖戦の決勝をご紹介する予定です。