皆様こんばんは。
今年最後の手合は、どうにか勝ちました。
最後の対局の結果によって、年末年始の気分が全然違います。
幸運に感謝しなければいけませんね。
また、昨日の記事について、早速多くの方からコメントを頂きました。
ありがとうございます!
ユニークな名前も出て来て、楽しませて頂いています。
いずれ全ての案を公開させて頂きますので、お楽しみに!
さて、本日は幽玄の間で中継された、村松竜一八段(黒)と武宮正樹九段の対局をご紹介します。
本日のテーマは、読みです。
プロの碁というのは、何となく眺めていても楽しめる面がある一方、何をやっているのか全く分からない、という場面もあります。
特に読み合いとなると、見ただけで理解できる方は少ないでしょう。
実際に盤上に現れる進行は氷山の一角に過ぎず、その進行の理由を理解するためには、水面下で何が起こっているかを理解する必要があるからです。
では、棋力が高くない方がプロの碁を楽しむには、どうすれば良いでしょうか?
その答えは、強い人に教えて貰う、という事になります。
NHK杯に必ずプロの解説が付いているのは、それが理由です。
幽玄の間でも、強い方がプロの碁を解説する文化ができたら良いと思っています。
級位者の方が気軽に疑問を述べて、強い方がそれに答えます。
そうなれば、棋力に関わらず、プロの碁を楽しめるようになるでしょう。
幽玄の間の会員も増えて、私としても大喜びです(笑)。
そのためには、とにかくプロの碁の注目度を上げる事ですね。
微力ながら、私も頑張っていきたいと思います。

1図(実戦白36~黒39)
白1、3は、「左下の黒は弱い石ですよ、守らないと危ないですよ」と脅している手です。
対して黒2、4は、「いやいや、こちらが守るなんてとんでもない。下辺の白の方が危ないんじゃないですか?」といった所です。
プロの碁にはよくある、意地の張り合いですね。
こういう事を始めると、碁が激しくなるのです。

2図(実戦白50~黒61)
その後、死活問題に発展しました。
白1から、隅の黒の眼を取りに行っています。
しかし、突然白11と関係無い所に打ち、黒も12と転戦しています。
左下の黒は、一体どうなっているのでしょうか?

3図(変化図)
前図白11で、本図白1から眼を取りに行く事が考えられます。
白5までとなって、一見セキ生きに見えるかも知れませんが、これは隅の曲がり四目と呼ばれる特殊な形で、黒死にとなります。
では、何故白がこれを決行しなかったかと言うと・・・。

4図(続・変化図)
黒7まで、白も眼が無くなります。
すると隅の黒との攻め合いになりますが、黒勝ちに終わります。
両者にはこの図が見えていますが、一方的に片方が良くなる図なので、実戦には現れないのです。
ここがプロの碁のややこしい所ですね。

5図(実戦白90)
その後、白△に切りました。
この手の狙い、分かりますか?

6図(実戦黒91~黒95)
白が右下の黒を取ろうとした、と思った方は外れです(笑)。
黒1~5で、逆に白が取られているからです。

7図(変化図)
前図の後白1から逃げようとしても、当たり当たりと来られて捕まってしまいます。
所謂グルグル回しですね。
勿論、武宮九段がこれをうっかりした訳ではありません。

8図(実戦白96~黒99)
6図の後、白1と出て、白3の当たりを利かしました。
ただ当たりをかけただけのように見えるかもしれませんね。
しかし、実はこの当たりを打つ事が、5図白△の狙いだったのです。

9図(実戦白100)
ここで、白△の置き!
全ては、この手を成立させるための準備工作だったのです。

10図(変化図)
4図と同じように見えるかもしれませんが、大きな違いがあります。
それは、白△に石がある事です。
黒7と来ても、今度は白8で大丈夫です。
白△によって、予め黒Aで連絡する手を防いでいるのです。
武宮九段は感覚派として知られていますが、実は深い読みも武器にしています。
そうでなければ、趙治勲の石は取れません(笑)。
今年最後の手合は、どうにか勝ちました。
最後の対局の結果によって、年末年始の気分が全然違います。
幸運に感謝しなければいけませんね。
また、昨日の記事について、早速多くの方からコメントを頂きました。
ありがとうございます!
ユニークな名前も出て来て、楽しませて頂いています。
いずれ全ての案を公開させて頂きますので、お楽しみに!
さて、本日は幽玄の間で中継された、村松竜一八段(黒)と武宮正樹九段の対局をご紹介します。
本日のテーマは、読みです。
プロの碁というのは、何となく眺めていても楽しめる面がある一方、何をやっているのか全く分からない、という場面もあります。
特に読み合いとなると、見ただけで理解できる方は少ないでしょう。
実際に盤上に現れる進行は氷山の一角に過ぎず、その進行の理由を理解するためには、水面下で何が起こっているかを理解する必要があるからです。
では、棋力が高くない方がプロの碁を楽しむには、どうすれば良いでしょうか?
その答えは、強い人に教えて貰う、という事になります。
NHK杯に必ずプロの解説が付いているのは、それが理由です。
幽玄の間でも、強い方がプロの碁を解説する文化ができたら良いと思っています。
級位者の方が気軽に疑問を述べて、強い方がそれに答えます。
そうなれば、棋力に関わらず、プロの碁を楽しめるようになるでしょう。
幽玄の間の会員も増えて、私としても大喜びです(笑)。
そのためには、とにかくプロの碁の注目度を上げる事ですね。
微力ながら、私も頑張っていきたいと思います。

1図(実戦白36~黒39)
白1、3は、「左下の黒は弱い石ですよ、守らないと危ないですよ」と脅している手です。
対して黒2、4は、「いやいや、こちらが守るなんてとんでもない。下辺の白の方が危ないんじゃないですか?」といった所です。
プロの碁にはよくある、意地の張り合いですね。
こういう事を始めると、碁が激しくなるのです。

2図(実戦白50~黒61)
その後、死活問題に発展しました。
白1から、隅の黒の眼を取りに行っています。
しかし、突然白11と関係無い所に打ち、黒も12と転戦しています。
左下の黒は、一体どうなっているのでしょうか?

3図(変化図)
前図白11で、本図白1から眼を取りに行く事が考えられます。
白5までとなって、一見セキ生きに見えるかも知れませんが、これは隅の曲がり四目と呼ばれる特殊な形で、黒死にとなります。
では、何故白がこれを決行しなかったかと言うと・・・。

4図(続・変化図)
黒7まで、白も眼が無くなります。
すると隅の黒との攻め合いになりますが、黒勝ちに終わります。
両者にはこの図が見えていますが、一方的に片方が良くなる図なので、実戦には現れないのです。
ここがプロの碁のややこしい所ですね。


5図(実戦白90)
その後、白△に切りました。
この手の狙い、分かりますか?

6図(実戦黒91~黒95)
白が右下の黒を取ろうとした、と思った方は外れです(笑)。
黒1~5で、逆に白が取られているからです。

7図(変化図)
前図の後白1から逃げようとしても、当たり当たりと来られて捕まってしまいます。
所謂グルグル回しですね。
勿論、武宮九段がこれをうっかりした訳ではありません。

8図(実戦白96~黒99)
6図の後、白1と出て、白3の当たりを利かしました。
ただ当たりをかけただけのように見えるかもしれませんね。
しかし、実はこの当たりを打つ事が、5図白△の狙いだったのです。

9図(実戦白100)
ここで、白△の置き!
全ては、この手を成立させるための準備工作だったのです。

10図(変化図)
4図と同じように見えるかもしれませんが、大きな違いがあります。
それは、白△に石がある事です。
黒7と来ても、今度は白8で大丈夫です。
白△によって、予め黒Aで連絡する手を防いでいるのです。
武宮九段は感覚派として知られていますが、実は深い読みも武器にしています。
そうでなければ、趙治勲の石は取れません(笑)。