白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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SGW杯予選1回戦

2018年11月13日 23時59分59秒 | 対局
<本日の一言>
大谷翔平選手、ア・リーグ新人王に!
いやー、凄過ぎますね。
イチロー選手のような、日本人の限界を超える選手になって欲しいですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
最近、第1回SGW杯中庸戦の予選が行われていますが、まだ棋戦の概要を説明していませんでしたね。

本棋戦の参加条件は、「日本棋院所属の31歳以上60歳以下かつ七大棋戦、竜星戦、阿含桐山杯の優勝経験が無い棋士」となっています。
若手ではなく、シニアでもなく、タイトル棋士でもない、故に中庸ということでしょう。

囲碁の勝負に絶対は無く、理屈の上では誰にでもタイトルを取れる可能性がある、と言えなくもありません。
しかし、現実的にはどうでしょうか?
全棋士参加棋戦において、優勝してもおかしくないと言える棋士は、全体の3%~5%程度ではないかと思います。
何しろ勝ち続けなければなりませんし、どこかで井山裕太や張栩のような棋士も倒さなければならないのですから・・・。

しかし、本棋戦には井山裕太や張栩はもちろん、一力遼のような若手も出てきません。
これはチャンスと、目の色を変えている棋士は多いのではないでしょうか?
本棋戦に優勝して、弾みをつけて一般タイトルも狙うプランを立てている棋士もいるでしょう。
本棋戦の誕生によって勉強に身が入る「中庸棋士」が増えれば、囲碁界全体のレベルアップにもつながるのではないかと思います。


ところで、私もSGW杯にエントリーしており、本日が予選対局日でした。
結果は、なんと3連勝して枠抜け!
どうしようもない1年かと思っていましたが、良いこともあるものですね。

それでは、今回は予選1回戦、宮崎龍太郎七段(46)との対局を振り返ってみたいと思います。
宮崎七段はNHK囲碁フォーカスで講師を務めた、「ドラゴン先生」ですね。



1図(実戦)
私の白番です。
白1の詰めは黒2と反撃されて打ち過ぎかもしれませんが、こう打ちたくなりました。
右上黒の攻めを狙う作戦です。





2図(実戦)
白△ではAかBが普通の打ち方ですが、何故かこの手に惹かれました。
隅の守りはスカスカですが、あえて黒Cの三々入りを誘って打つつもりです。

本局は1手20秒、1分の考慮時間が5回という対局条件であり、NHK杯よりもさらに短いです。
ですから、研究していない手を思い付きで打つべきではないでしょう。
しかし、自分の感性を優先するのが今の私のスタイルです。





3図(実戦)
白△とハネ出したのは勢いですね。
白×からの流れがあるだけに、こう打たなければ面白くありません。





4図(実戦)
白△とコスミを打った場面です。
次に白A、黒B、白Cで黒×を取る狙いと、白D、黒E、白Fで黒〇を取る狙いが見合いになり、どうやら白が上手くいったようです。


本局は手の良し悪しはともかく、後悔する手が少なかったです。
いつもこうありたいものですね。