白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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王座戦第3局

2018年11月19日 21時33分21秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
第1回SGW杯の予選決勝の棋譜(自戦解説付き)がこちらのページに掲載されています(トーナメント表内)。
ぜひご覧ください。
ただ、解説を見ながら並べることが難しい仕様になっており、改善の余地がありますね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は王座戦第3局が行われました。
早速振り返っていきましょう。



1図(実戦)
井山裕太王座の黒番です。
この2線をずらずら這う展開には驚きましたね。
結果的に、2線に8本も黒石が並ぶことになりました。

その代わり、右下白×がバラバラになっており、どちらの罪が重いのかということになりますね。
個人的には断然白良しと感じますが、皆様はいかがですか?





2図(実戦)
黒△と押した場面です。
ここで大多数の棋士は、A~Cの3通りの中から選ぶことになるでしょう。
他の手は考えもしないと思います。
ところが・・・。





3図(実戦)
白1から強引に切りに行きました!
これは私にとって、先の2線這いが霞むほどの驚きでした。
何と言うか・・・「筋悪おじさん」みたいな打ち方ですね(笑)。
白5の切りは空き三角の愚形ですし、直接的には何も生み出さないからです。

もちろん、一力遼挑戦者としてはそんなことは百も承知です。
多少強引でも、戦いの中でチャンスを掴もうとしたのでしょう。
これはおそらく、相手が井山王座だからです。
例えば私相手なら、さらさら打って綺麗に勝てますからね。





4図(実戦)
井山王座のこの手には敬服しました。
目一杯白に迫っています。
このあたりから黒の優勢が拡大していったように見えるので、勝因の1つではないでしょうか。


本局に勝って、井山王座が防衛に王手をかけました。
第4局は11月30日に行われます。
その前の11月23日には天元戦第3局が行われますが、そこでの山下挑戦者の頑張りも影響してきそうですね。