池袋サンシャイン通りにあるWというハンバーガー店で、若くて美人なFとポテトをつまみながら、ふと窓に目をやると外は雨が降っていた。お互いの近況報告も終わり、何となく間が空いていると、Fが話し出した。
「私もそろそろ彼氏を見つけなきゃ、だね。」
サッカーが大好きだった元彼とは今もいい友達のまま続いているらしいが、彼女は今フリーだ。言い寄ってくる男は山ほどいるだろうに、年末は実家に帰って、恋愛とかとは無関係に、「家族との団欒」の方を楽しもうかな、と話してくれた。
「好きだって言ってくれる男はいっぱいいるじゃん。断わってるから独りなんだよ。誰かいい人選んだら?」
「あなたもね。」
例えば、2人で食事に行こうと誘ってくれるのは、自分に好意を持ってくれている証拠である。長年仲良くしている異性の友達というワケではないのなら、異性の人から誘われるという事は、OKしたのならいずれそれなりの対応をしなくてはならない、ということでもある。Fは別だが、オレが女のコと2人でメシ食いに行ったとしたら、相手に誤解されてもしょうがないということになる。告白させてしまったとしたら、オレのせいだ。異性の相手と個人的な場で2人になる時は、「友達として」なのか、そうではなさそうなのかを見極める必要がある。オレもFも、その辺のことは承知しているので、相手を誤解させるような会い方は絶対にしない。よって、自分が好きな相手や友人以外の異性とは極力2人っきりにはならないようにしているのである。
「モテないって言うけど、モテてんじゃん。早くいいやつ見つけろよ。」
「あなたもね。」
オレ達は、こんな調子で年末年始を迎えそうである。
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