>私が持っている他の参考書には、
「被保佐人が、重要な財産上の行為を制限行為能力者の
法定代理人としてする場合でも、保佐人の同意が必要」
とありました。
保佐人の同意があれば、被保佐人が制限行為能力者の法定代理人になる
ことができるという意味で合っていますか?
【井真井】
その解釈は間違っています。
保佐人の同意によって法定代理人になれるわけではありません。
→ 法定代理人(成年後見人、保佐人、補助人、未成年後見人、親権者など)
法定代理人は、親権者または、裁判所に選任された者です。
民法第102条では、以下のように定めています。
(代理人の行為能力)
第102条 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっ
ては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者
の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
【井真井】
代理人には、「任意代理人」と「法定代理人」があります。
本人が「制限行為能力者を代理人に指名」した場合、この制限行為能力者は
「任意代理人」となります。
この場合、制限行為能力者だと知りながら、敢えて指名したのですから、代理人
である制限行為能力者の法律行為について、本人は、制限行為能力者の行為であ
ったことを理由に、後から法律行為を取り消すことはできません。
保護に値しないからです。
→102条本文: 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限に
よっては取り消すことができない。
ですが、「法定代理人」の場合は、本人の意思とは関係なく、本人の代理人になっ
てしまった人なので、本人は、制限行為能力者である法定代理人の法律行為につき、
後から、代理人が制限行為能力者であったことを理由に取消すことができます。
→102条但し書き: ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人と
してした行為については、この限りでない。
たとえば、両親が重度の精神障害者であり、事理弁識能力が欠如した制限行為能力者
だったとしましょうか。
親権者なのですから、彼らは「法定代理人」ですよね。
では、16歳の高校生(=未成年者=制限行為能力者)である少年の両親(=法定代理人)
が、被保佐人(=制限行為能力者)である場合を想像して下さい。
両親が息子の代理人として、息子名義で高額な土地の売買契約を締結してしまった場合、
16歳の未成年者である息子(本人)は、この両親の法律行為を取消すことができますか?
できませんか?
民法第102条但し書き
「ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、
この限りでない。」
・・・と、あるのですから、息子は両親が制限行為能力者であることを理由に当該売買契約
を取消すことができます。
では、民法13条1項および同項10号をご覧ください。
(保佐人の同意を要する行為等)
第13条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。
10号 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条
第1項の審判を受けた被補助人をいう。)の法定代理人としてすること。
被保佐人である両親が、制限行為能力者(未成年者)である息子の代理人として行う法律行為に
ついては、「保佐人の同意」が必要です。
この同意を得ずして行った法律行為については、取り消すことができます。しかし、同意を得た
法律行為は、取り消すことができません。
参考書は民法13条のことを述べているのです。
↓
<参考書>
「被保佐人が、重要な財産上の行為を制限行為能力者の法定代理人
としてする場合でも、保佐人の同意が必要」
法定代理人の地位は、保佐人の同意によって、効力が生じるわけではなく、親権者であれば、
無条件に法定代理人になります。
しかし、制限行為能力者の「法定代理人が制限行為能力者」である場合、この法定代理人が本人の
ためにする重要な財産上の法律行為については、保佐人の同意が必要となります。
当該同意があれば、その法律行為は有効に成立し、後から取消しができなくなります。
一方で保佐人の同意が無い法律行為は、取り消すことができる行為となります。
解説は、以上になります。
尚、蛇足ですが・・・・
制限行為能力者である「成年被後見人」の場合は、注意してください。
行為能力者であった法定代理人が、後見開始審判を受けますと、その時点で代理権が消滅しますので、
成年被後見人は、「法定代理人」としての地位を失います。
成年被後見人は、「任意代理人」になることはできても、「法定代理人」にはなることはできません。
(代理権の消滅事由)
第111条 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
以上になります。
ご利用いただきまして、誠に有難うございました。
引き続き、どうぞ、宜しくお願い致します。
井真井アカデミー
代表 井真井 秀樹
#宅建試験 #宅建士 #宅建合格 #宅建独学合格無理 #宅建独学 #宅建勉強法 #宅建士試験日
https://imai-academy.net/imai.academy.takken.index.html
「被保佐人が、重要な財産上の行為を制限行為能力者の
法定代理人としてする場合でも、保佐人の同意が必要」
とありました。
保佐人の同意があれば、被保佐人が制限行為能力者の法定代理人になる
ことができるという意味で合っていますか?
【井真井】
その解釈は間違っています。
保佐人の同意によって法定代理人になれるわけではありません。
→ 法定代理人(成年後見人、保佐人、補助人、未成年後見人、親権者など)
法定代理人は、親権者または、裁判所に選任された者です。
民法第102条では、以下のように定めています。
(代理人の行為能力)
第102条 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっ
ては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者
の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
【井真井】
代理人には、「任意代理人」と「法定代理人」があります。
本人が「制限行為能力者を代理人に指名」した場合、この制限行為能力者は
「任意代理人」となります。
この場合、制限行為能力者だと知りながら、敢えて指名したのですから、代理人
である制限行為能力者の法律行為について、本人は、制限行為能力者の行為であ
ったことを理由に、後から法律行為を取り消すことはできません。
保護に値しないからです。
→102条本文: 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限に
よっては取り消すことができない。
ですが、「法定代理人」の場合は、本人の意思とは関係なく、本人の代理人になっ
てしまった人なので、本人は、制限行為能力者である法定代理人の法律行為につき、
後から、代理人が制限行為能力者であったことを理由に取消すことができます。
→102条但し書き: ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人と
してした行為については、この限りでない。
たとえば、両親が重度の精神障害者であり、事理弁識能力が欠如した制限行為能力者
だったとしましょうか。
親権者なのですから、彼らは「法定代理人」ですよね。
では、16歳の高校生(=未成年者=制限行為能力者)である少年の両親(=法定代理人)
が、被保佐人(=制限行為能力者)である場合を想像して下さい。
両親が息子の代理人として、息子名義で高額な土地の売買契約を締結してしまった場合、
16歳の未成年者である息子(本人)は、この両親の法律行為を取消すことができますか?
できませんか?
民法第102条但し書き
「ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、
この限りでない。」
・・・と、あるのですから、息子は両親が制限行為能力者であることを理由に当該売買契約
を取消すことができます。
では、民法13条1項および同項10号をご覧ください。
(保佐人の同意を要する行為等)
第13条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。
10号 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条
第1項の審判を受けた被補助人をいう。)の法定代理人としてすること。
被保佐人である両親が、制限行為能力者(未成年者)である息子の代理人として行う法律行為に
ついては、「保佐人の同意」が必要です。
この同意を得ずして行った法律行為については、取り消すことができます。しかし、同意を得た
法律行為は、取り消すことができません。
参考書は民法13条のことを述べているのです。
↓
<参考書>
「被保佐人が、重要な財産上の行為を制限行為能力者の法定代理人
としてする場合でも、保佐人の同意が必要」
法定代理人の地位は、保佐人の同意によって、効力が生じるわけではなく、親権者であれば、
無条件に法定代理人になります。
しかし、制限行為能力者の「法定代理人が制限行為能力者」である場合、この法定代理人が本人の
ためにする重要な財産上の法律行為については、保佐人の同意が必要となります。
当該同意があれば、その法律行為は有効に成立し、後から取消しができなくなります。
一方で保佐人の同意が無い法律行為は、取り消すことができる行為となります。
解説は、以上になります。
尚、蛇足ですが・・・・
制限行為能力者である「成年被後見人」の場合は、注意してください。
行為能力者であった法定代理人が、後見開始審判を受けますと、その時点で代理権が消滅しますので、
成年被後見人は、「法定代理人」としての地位を失います。
成年被後見人は、「任意代理人」になることはできても、「法定代理人」にはなることはできません。
(代理権の消滅事由)
第111条 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
以上になります。
ご利用いただきまして、誠に有難うございました。
引き続き、どうぞ、宜しくお願い致します。
井真井アカデミー
代表 井真井 秀樹
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