因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

松竹・劇団☆新感線『朧の森に棲む鬼』

2007-01-22 | 舞台
*中島かずき作 いのうえひでのり演出 新橋演舞場 公演は27日まで 公式サイトはこちら
 新感線の、それも市川染五郎が主演する舞台をみにいくときの気持ちは、よそでは決して味わえないものがある。必ずものすごい舞台をみせてくれるに違いないという絶対的な安心感だ。姿も声も美しく、殺陣の流麗なことといったら惚れ惚れする。歌舞伎という基本がきっちり身に付いている人が、その基本がぶれることなく新しい分野に果敢に挑戦する姿はほんとうに力強く美しい。実に強引で厚かましいのだが、舞台と観客の関係を夫婦にたとえるなら、これは申し分ない夫を持った妻の幸せに近いのではないかしら。前衛過ぎて理解できずに落ち込むこともなく、客足を心配する必要もなく、評論家の酷評に心を痛めることもない。彼を信頼し、安心して客席に身を委ねていられるのだから。

 だがしかし、ふと心身の緊張が緩んでいる自分に気づく。観劇の前に内容について下調べもせず、見終わったあとは「ああ楽しかった」と幸福感にどっぷり浸かっている。これでいいのだろうか。いや、たまにはいいのかもしれないが、「予定調和」とは舞台の側だけではなく、観客のほうにも起こりうる現象ではないのか。染五郎丈は今回もますます素敵で共演陣も充実していた。問題は自分の方にあるのだろう。で、どうすればいいのか?次の新感線の舞台までの宿題である。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 因幡屋通信25号完成 | トップ |  中野成樹+<del>フランケン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

舞台」カテゴリの最新記事