因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

チェルフィッチュ『三月の5日間』

2006-03-20 | 舞台

*岡田利規作・演出 六本木Super Deluxe  偏見や思い込みなしに舞台を素直に受け取りたいと思う。特にチェルフィッチュのように好き嫌いのはっきり分かれる舞台に関しては。しかし昨年秋の『目的地』に続いて今回の公演をみても、正直なところこのカンパニーのしようとしていることが自分にはよくわからない。これはすごい、掘り出し物だと身を乗り出すことは勿論、これは邪道だと断罪するほどでもない。どっちつかずの終始居心地のよくない心持ちであった。
 本気で笑ったのは、後半デモの様子を描写する場面で、花粉症の男の子が「マスクしてデモに行くと、本気系にみられる恐れがあるから」という箇所のみであった。
 「~っていう話をこれから始めます」という台詞や俳優の動きにも、これまでみたことのない新鮮な世界に触れた喜びよりも、何か試されているようで油断がならない。そう簡単に驚いて、おもしろがって受け入れたりはしないぞと気負ってしまう。しかしこんなふうに戸惑ったり悩んだり躊躇したりというこちらの様子もチェルフィッチュはお見通しなのかしらという被害妄想さえ浮かび、ますます居心地が悪くなるのだった。
 自分は『三月の5日間』という作品をみた。一応全編眠らずに。はっきり言えるのはそれだけなのである。

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