*神品正子作・演出 公式サイトはこちら SPACE雑遊 13日で終了
舞台にはベンチがふたつあるだけだ。都心にある公園の午後から夕刻にかけて、そこにやってくるふたりの会話が6つ連続して描かれる作品だ。
久しぶりに再会したものの、話の弾まない元同級生や、リストラされて公園で時間をもてあます男たち、かつての同僚、新米とその上司などなど、会話が進むにつれてお互いの関係や、前の場とのつながりがわかってくる。はじめの場では明らかに「この人、へんだ」と思っていた人物が、次の場ではまともにみえてきたり、というかその場の相手のほうがおかしくみえたりするところがおもしろい。
人の印象とは相対的なものであり、相手しだいでいい人にもなれるし、逆にもなれる。
作者はさまざまな現場で働く人の生の声を丁寧に聴きとり、劇化したと想像される。思い当たる節、耳の痛い台詞がたくさんあって、微苦笑を誘われる。
俳優によっていささか演技の大き過ぎる人がいることが気になった。声や動作、表情などをもっと抑制したほうが、人物の心象や相手との関係が伝わってくるのではないか。
そのなかで一見普通にみえて、実はどこかしら壊れかけている女性を過不足なく演じている森宮なつめが魅力的であった。
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