*菅間勇 台本・演出 公式サイトはこちら 王子小劇場 7日まで
劇団初見。きっかけは漢字の多い劇団名や演目、縞目の着物のような公演チラシの雰囲気に惹かれたせいか。舞台は夏目家のお勝手口、漱石、鏡子夫婦はじめ住み込みの女中や書生はじめ、職人や商人たちがにぎやかに出入りする90分である。
当日リーフレットには登場人物の関係や舞台の時代設定、場面構成まで丁寧に記されている。どっしりと重量感を感じさせる舞台美術や家具調度類、着物にたすき掛け、袴に下駄ばきと、舞台の作りは非常に手の込んだもの。出演俳優はベテランから中堅、若手までバランスよく、生き生きしている。時代設定が昭和4年と明治44年に行き来するが、鏡子の姪お房が漱石の教え子松根と思い合う間柄であったのに、名古屋に嫁ぐ決意をしたことをめぐる夏目家、奉公人たちのあれこれが舞台の中心になる・・・という認識でよいのだろうか。初見のせいもあるが、劇作家がどのような方向性をもっているのか、舞台のどこに視点を合わせればよいのかがつかめなかった。ほとんどの人物が声を張り上げて台詞を発し、しぐさも大きい。人物を少し戯画化する意図なのか、演じる俳優と人物に距離をもたせるためなのか。じめじめと感傷的なものがないかわりに、風情に乏しく感じた。と思う自分は見方をまちがっているのだろうか。
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