*奥山雄太 脚本・演出 公式サイトはこちら 三鷹市芸術文化センター星のホール 10日まで
初ろりえ。1時間40分あたりで5分の休憩をはさみ、上演時間は2時間55分であった。先月の中津留章仁 作・演出の『背水の孤島』は3時間10分休憩なしで、それでも心配するよりずっと集中することができたものの、新劇や大劇場での公演以外でここまで長いものは、やはり二の足を踏む。
不運なことにうちを出てから腕時計が壊れていることに気づいた。上演中に時間をチェックし心身の調整をすることができないということは、そうとうの負荷になると予想した。時計をみることを忘れるほど熱中できればいいのだが(余談:腕時計関連で以前にもこんなことが)。
中央区に住む兄と弟。兄はニートで引きこもり風、弟はお笑い芸人を目指していたが、相方で恋人でもある女性にコンビと関係の解消を言いわたされる。失意の帰り道で、号泣している女の子に出会い、あっというまに新しい恋がはじまる。女の子は大変なお嬢さまらしいのだが、実は・・・。
舞台は川べりの道らしく作られているが、町のパン屋や妙な喫茶店、兄弟が暮らす部屋や女の子の家など、複数の場所に変化する。登場人物は20名で、物語の中心になるのは兄弟と女の子だが、すべての人物にたっぷりと見せ場があり、非常に手の込んだストーリー展開で、後半はびっくりするくほど大掛かりな舞台装置が出現する。そう、まさに出現。
人物や場面のすべてがぜったいに必要かと考えると、疑問点も多い。リラックスして楽しめたことはよかったが、兄弟の母親が●●●だったとわかるあたりから、真剣に考えながら見ることをやめる方法もアリかな?という気持ちになったというのが正直なところだ。
荒唐無稽な話やナンセンスコメディも自分は好きである。舞台で徹底的に無意味で無駄なことをして、ひたすら遊ぶこともいい。何にでもテーマやメッセージ性が必要とも思わない。大変な労力を注ぎこんで作られた舞台であり、俳優はみな力演の熱演だ。いつのまにか時計が壊れていることも忘れていた。それくらい舞台は熱気に満ちており、客席も好意的な空気が生まれていたのである。それだけに3時間近くをじゅうぶんに共有できたという実感、たしかな手ごたえがほしい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます