*三田村組第13回公演(マーク義理人情提携公演)蓬莱竜太作・演出 公式サイトはこちら 中野 ザ・ポケット 27日まで
今回が三田村組初見となる。HPをみると若い気鋭の劇作家の作品を次々に上演し、特に本作の蓬莱竜太(モダンスイマーズ)とは3度めのタッグだという。おもしろいのは、当日チラシの左半分に三田村、左半分に蓬莱の挨拶文がそれぞれ掲載されているのだが、両者の熱さがいささかずれているというか、ちぐはぐなのである。三田村は情熱に溢れ、蓬莱が「『常に三田村さんの遺作のつもりで書いている』そうなので、あと20本くらい書いてもらうつもりで頑張ります」との決意表明。対して蓬莱は「これで最後にしようということだったが、三田村さんはどんどん元気になっている。それはそれで嬉しいのだけど」と困惑気味である。しかし世代の違いを越えて演劇という化け物に果敢にぶつかろうとする三田村と、それを柔軟に受け止め、三田村のために味わい深い作品を生み出す若い劇作家との交わりは微笑ましく、刺激的である。さらに今回はマーク義理人情との提携公演であるという。それが具体的にどういう意味をもつのかはよくわからないが、プロデュース公演多しと言えども、こんな熱い雰囲気はなかなか味わえない。
《上演期間真っ最中です。ここから先はご注意ください。》
廃屋のような部屋に老人(三田村)が1人で暮らしている。寝たきりで認知症の症状もあるようだ。子供たちは寄りつかず、心を許せるのはヘルパーの晴美(麻丘めぐみ。ほんとうに出演していた!)と時々やってくる青年(高橋康則/マーク義理人情)だけである。ところがある出来事をきっかけに老人はどんどん元気になっていく。
家族から大切にされない老人がどのようなことになるかという面からみると、三田村老人の姿はほんとうに悲惨でとても笑えない。実にリアルな現代劇風である。しかし老人が元気になってしまうというありえない展開や、時々やってくる青年が実はどういう存在であるかという演劇的な仕掛けによって平板な写実に留まらず、複雑で余韻のある舞台になっていた。警官二人組(古屋治男、竜沢孝和/マーク義理人情)の設定や造形にやや疑問が残る。新聞やテレビの報道をみれば、世間にはとんでもない教師や警察官や政治家がたくさんいることはわかるのだが、人物の描き方に「この程度の嫌な警官ならいるだろうな」と「こんな警官、いるはずがない!」との混じり具合がもう一息、何か欲しかったと思う。
ともあれ俳優三田村周三63歳、まだまだバリバリである。もっとおもしろい舞台を作るぞ。幕開けからカーテンコールまで、熱意と気合いに満ちあふれており、とどまるところを知らない。若い演劇人の方々よ、ここに元気のありままった熟年俳優がいらっしゃいます。多少痛い思いをするかもしれないが、きっと熱い演劇体験ができるでしょう。
今回が三田村組初見となる。HPをみると若い気鋭の劇作家の作品を次々に上演し、特に本作の蓬莱竜太(モダンスイマーズ)とは3度めのタッグだという。おもしろいのは、当日チラシの左半分に三田村、左半分に蓬莱の挨拶文がそれぞれ掲載されているのだが、両者の熱さがいささかずれているというか、ちぐはぐなのである。三田村は情熱に溢れ、蓬莱が「『常に三田村さんの遺作のつもりで書いている』そうなので、あと20本くらい書いてもらうつもりで頑張ります」との決意表明。対して蓬莱は「これで最後にしようということだったが、三田村さんはどんどん元気になっている。それはそれで嬉しいのだけど」と困惑気味である。しかし世代の違いを越えて演劇という化け物に果敢にぶつかろうとする三田村と、それを柔軟に受け止め、三田村のために味わい深い作品を生み出す若い劇作家との交わりは微笑ましく、刺激的である。さらに今回はマーク義理人情との提携公演であるという。それが具体的にどういう意味をもつのかはよくわからないが、プロデュース公演多しと言えども、こんな熱い雰囲気はなかなか味わえない。
《上演期間真っ最中です。ここから先はご注意ください。》
廃屋のような部屋に老人(三田村)が1人で暮らしている。寝たきりで認知症の症状もあるようだ。子供たちは寄りつかず、心を許せるのはヘルパーの晴美(麻丘めぐみ。ほんとうに出演していた!)と時々やってくる青年(高橋康則/マーク義理人情)だけである。ところがある出来事をきっかけに老人はどんどん元気になっていく。
家族から大切にされない老人がどのようなことになるかという面からみると、三田村老人の姿はほんとうに悲惨でとても笑えない。実にリアルな現代劇風である。しかし老人が元気になってしまうというありえない展開や、時々やってくる青年が実はどういう存在であるかという演劇的な仕掛けによって平板な写実に留まらず、複雑で余韻のある舞台になっていた。警官二人組(古屋治男、竜沢孝和/マーク義理人情)の設定や造形にやや疑問が残る。新聞やテレビの報道をみれば、世間にはとんでもない教師や警察官や政治家がたくさんいることはわかるのだが、人物の描き方に「この程度の嫌な警官ならいるだろうな」と「こんな警官、いるはずがない!」との混じり具合がもう一息、何か欲しかったと思う。
ともあれ俳優三田村周三63歳、まだまだバリバリである。もっとおもしろい舞台を作るぞ。幕開けからカーテンコールまで、熱意と気合いに満ちあふれており、とどまるところを知らない。若い演劇人の方々よ、ここに元気のありままった熟年俳優がいらっしゃいます。多少痛い思いをするかもしれないが、きっと熱い演劇体験ができるでしょう。
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