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本日のB班は上演順に以下の4作品。
①ミナモザ(瀬戸山美咲 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13)
『指』がれきの街に、ある目的をもってやってきた夫婦。
②アロッタファジャイナ(松枝佳紀 1,2,3,4,5)
『日本の終わり』2012年、「無縁社会」に危機感を覚えた女子高校生が総理大臣に会いに行く。大臣が日本のために提案した政策とは。
③ろりえ(奥山雄太 1)
『枯葉によせて(仮)』これは何とまとめたらいいのだろう。当日パンフレットによれば、作者は「日本がどうとかよくわかっていない4人の女とじじいの話(仮)をやります」と言う。たしかにそうだが。
④JACROW(中村暢明 1,2,3,4,5)
『甘えない蟻』被災地でひとりの男性が自殺した。遺された家族の葛藤。
舞台美術はA班と変わりない。つまり多少の持ちこみ的なものはあるものの、8つの劇団がほとんど同じ作りのステージで違う作品をみせることになる。
舞台を対角線状に白い台が横断し、前方と後方に小さな可愛らしいランプが下がり、数脚のはしご。どのようにして基本的な舞台美術が決定したのだろう。特に白い台は舞台空間を寸断することもあれば、つながりを示す働きもある。各劇団ともに使い方に苦心や工夫があったと察する。作る過程を知りたくなった。
①瀬戸山美咲の『指』について
日本では暴動も略奪も起こらず、被災者は皆冷静で礼儀正しく忍耐強いと、世界が称賛した。
本作が描いたのは、おそらく現実にあったことだろうが、大きく報道されていないため知らされず、知らずに済んでいる、いわば影のできごとだ。
夫婦は葛藤ののち、犯罪行為には違いないが、まるで弔いの儀式のように手を重ねる。
自分がこれまでみたミナモザの作品にはあまり登場したことのないうらぶれた中年夫婦が20分の芝居にある種の痛みをもたらしている。
A、Bともに長い作品を書く力をじゅうぶんに備えた劇作家ばかりである。それを時間制限に加え、前述のように舞台空間の制約もあるなかで、独自の表現をめざす。
今回の話をベースに、もっと深く掘り下げて震災に限定せず、普遍的な物語を書き抜いてほしいと思うもの、この調子で2時間もあったらちょっと・・・と引くものや、20分を短すぎず長すぎずほどよく使いこなしたものなど、さまざまだ。20分ではできないことはたくさんあるだろうが、20分ならできることもきっとあるはず。
凝縮し、削ぎ落すことによって、深さと奥行きをもたせることのできた作品が、前述の制限を逆に活かして、空間を征したと言えよう。
今夜の記述は取り急ぎここまで。あとの3つの作品と、中村うさぎをゲストに迎えたトークについて記載しないことをお許し願いたい。
公演はまだ3日めだ。ある劇団については微調整をしながらもっと高みを目指してほしいと願いながら、べつの劇団には何が起ころうと何を言われようと変わらずどっしりマイペースで続けてほしくもあり、この矛盾した気持ちが『日本の問題』の手ごたえ、魅力のひとつであろう。
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