「東方に降三世夜叉明王すいじゃくといっぱ? ~~降臨?まします各々8万4千の眷属を~~~こんごうた!・・・・・ア・バ・ウン!」勢いよく矢が天目がけて飛んで行く。
真言や天台などの密教寺院で修される「柴灯護摩 (さいとうごま。天台宗では、採灯護摩) 」。
火渡りなどとも称され、聴衆受けします。
ただ、東西南北の結界を張る作法?なのか、よくわかりませんが、「法弓作法」「法斧作法」とか「法剣作法」とか、色々行者がやっています。
中には、「初めて参加した人」もいて、法弓作法で「東方に降三世明王・・・・・ア・バ・ウン!」勢いよく弓が天目がけて飛んで行くところ・・・矢が、「ひょろひょろ・・・ぽたん・・・」と、すぐ先に落下することもあります。
そういう時、参拝者は「くすくす」と笑っています。
ほのぼのとした光景であります。
柴燈護摩のクライマックスは、火渡りですが、たいてい、熱くないことが多いのです。
しかし、中には、「うちのはホントに熱いぞ」と豪語する寺院もあります。
鳥取県の三佛寺 (国宝・投入堂) と、奈良県の信貴山・朝護孫子寺は、自信もって言ってました。
信貴山では、最後に火渡りした行者が、「いええええええいっ!」抜身の真剣で、竹を「スパーンっ!」と切り倒してました。
私は、岡山県倉敷市の由加山・蓮台寺で火渡りしたことがあります。
一般参拝者の渡る時は、火傷しないよう、火をかなり抑えてくれていたので、「温い」感じでした。
上の「ア・バ・ウン」は、梵語の「ア」「バ」「ウン」だと思いますが、さだかではありません。
行者が大きな声で唱えるのが、「ア」「バ」「ウン」と聞こえるので、そう表記したのであります。
柴燈護摩は、修験者 (行者) に扮した僧侶たちが行じる場合が多いですが、実際の修験者が多数参加する場合もあります。大峯などでは、僧侶 兼 修験者の場合もあります。
愛媛の石鎚修験の行者は、結構、腰が決まっている行者もいます。
「ア」 「バ」 「ウーーンっっ!」
「りーん ぴょーう とーう しゃー かーい ちーん れーつ ざーい ぜえぇぇぇんっ・・・えぇぇいっっ!」九字も横縦真っすぐブレずに切っていたりします。
「この行者、空手か剣道か、なにか武道やってたんじゃないかな」と思えるくらい、足と腰が安定している人もいます。
昔、仏教新聞大手の記者から聞いた話では、修験は、
「吉野大峯」「出羽」「石鎚」を日本三大修験と言う場合と、「吉野大峯」「石鎚」「鳥取の三佛寺」を言う場合とある・・・らしいです。
修験の霊地は、行者の事故は聞いたことありませんが、物見遊山の観光客が滑落して死ぬことは・・・あるみたいです。
神仏の霊場霊山では、「草木・石その他一切取ってはいけない。持って帰ってはいけない」と言う掟があると・・・昔の説話集に書いてあるのを読んで・・・私も昔、石鎚山系の行場で、同行していた行者兼僧侶に、「この石、きれいなので持って帰っていいですかね~」と聞いて、「ああええよー」と言われたので2個持って帰ってたんです。後々に、上記の掟を知り、石鎚神社さま宛に、訳を書いて謝罪し、「石を石鎚大神さまにお返ししますので、よろしくお願いいたします」と記し、3万円くらいの初穂料添えて送金しました。
後、石鎚神社様から、「あいさつ文と、石鎚大神さまへ初穂料お供えし、無事、石も石鎚の地にお返しし、石鎚大神さまへご報告しました」旨の返信と謝礼 (石鎚神社御神札・お皿) をいただきました。
同じ神仏をお祀りしていても、「大峯吉野」「三佛寺」「石鎚」では、それぞれ雰囲気が違います。共通点は「水がきれい」なところです。
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