第43期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第2局は13日、愛知県田原市の旅館「角上楼(かくじょうろう)」で打ち継がれ、午後8時7分、井山裕太名人(29)が挑戦者の張栩(ちょうう)九段(38)に336手までで白番2目半勝ちを収め、開幕2連勝でタイトル防衛に向けて前進した。持ち時間各8時間のうち、残り時間は井山名人1分、張挑戦者6分。第3局は25、26日、鹿児島市で打たれる。

 336手は、名人戦史上、2006年の第31期の張栩名人対高尾紳路本因坊(当時)の364手に次ぐ2番目の長手数。名人は2日目の夕方、考慮時間が残り1分の秒読みになり、4時間弱も時間に追われながら、挑戦者の猛追を辛くもかわして逃げ切った。

 名人の白106(封じ手)から2日目に入った。名人の攻勢で受けに回っていた挑戦者は、黒129と右辺中央に孤立する白80の一子を大きく包囲し、逆襲に転じた。この一子をまるのみすれば黒の大地になるが、名人の白130からの一連の手段がうまく、包囲網からの脱出に成功した。

 その後、白194まで上辺の黒五子を取り白優勢になったが、名人は午後4時16分、162手目から残り1分の秒読みに入っていた。終盤に入り着手が乱れ、考慮時間を2時間以上残す挑戦者が猛追。検討室からは「逆転か」の声が上がる場面もあったが、挑戦者の失着もあり辛勝した。(大出公二)

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 《井山名人の話》 途中からは何もわからない状態。ミスもあってダメかと思ったが、その後、中央のヨセで得をし、いけると思った。

 《張挑戦者の話》 最終盤に勝つチャンスがあると思ったが、中央でミスが出て残念。内容は悪くないので心を入れ替えて頑張る。

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2日制の碁でへとへとになっているのに、最後の4時間近くを秒読みの中打ち続けた井山名人・六冠、大したものです。感服しました。いまいちばん打てている張栩九段が間違うのも仕方ありません。

番碁では、偶数局が重要といわれます。第2局に勝って2連勝した井山名人・六冠が優位に立ったことは間違いないでしょう。ぜひとも、この勢いで名人防衛を果たし、七番勝負最多の趙治勲名誉名人・二十五世本因坊に並んでほしいと願っています。