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檸檬はそこにあったのか?

2005年10月03日 08時23分30秒 | 時事放談: マスコミ編
いまの若い社会人の諸君と接してみて常に思うのは、彼らの「純文学離れ」であります。読むとしても、せいぜい村上春樹の小説くらい。いわゆる「古典」、日本文学であろうが、外国文学であろうが、まず読んできていませんし、読みません。

貧乏英語塾塾長はそうした古典文学離れを「もったいない!」と断罪します。映画・テレビ・インターネットもよいけれど、古典文学もよいものです。「読書の秋」という言葉はまだ死語ではないと思っていますし、役に立つというだけの観点で本を読まないというのは、すごく贅沢な気がします。いかがなものでしょう。

そんな読書の秋に古典を紐解くのも悪くないのでは、と思わせるニュースが入ってきました。

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閉店惜しみ置きレモン 小説「檸檬」ゆかりの京都・丸善 (朝日新聞) - goo ニュース

2005年10月 2日 (日) 13:21

 10日に閉店する書店「丸善」京都河原町店で、売り場の本の上にレモンを置いて立ち去る客が相次いでいる。作家梶井基次郎(1901~32)の短編小説「檸檬(れもん)」の主人公が京都の丸善の本の上に、近くの果物屋で買ったレモンを置いたのをまねて客がそっと置いていくらしい。

 これまでも年に数回、レモンが置いてあった。それが閉店が決まった今春から徐々に増えはじめ、現在11個。いずれも、レジの店員から見えない所に置かれていたという。

 店では忘れ物としてバスケットに集めて、「檸檬」の文庫本のわきに置いている。文庫本もここ数日、1日60冊も売れており、急きょ千冊を追加注文した。

 丸善が京都に出店したのは1872年で、小説の舞台になった旧店舗は現在地から約400メートル北西にあった。丸善は京都市内の別の場所で店を復活させたいとしているが、適当な店舗はまだ見つかっていない。伊藤博店長は「京都の店をこんなに愛してもらって、心底うれしい」と話している。

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梶井基次郎の「檸檬」は高校時代に読みました。甘酸っぱい思い出が蘇ります。この記事が本当のことなら何やら「いいなあ」と呟きたくなる話です。

問題は、このロマンチックな小事件を朝日新聞が報道していることでしょう。あまりに出来すぎた物語に、マユツバではないかと疑いたくなるゴウ先生の気持ちもお分かりいただけるでしょう。それもこれも、朝日がこれまで誤報を繰り返してきたせいであります。こんなよい話もにわかに信じられなくなってしまったのです。

そこで、他の新聞ではどうかと思って、いくつかの検索エンジンを調べてみました。そして挙がって来たのが、朝日の宿敵・産経新聞のこんな記事です。

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老舗書店の丸善『檸檬』1000冊の別れ (産経新聞) - goo ニュース

2005年10月 1日 (土) 15:24

閉店する京都河原町店 梶井基次郎の小説に感謝

 大正期に活躍した作家、梶井基次郎の小説『檸檬(れもん)』にも登場する京都の老舗書店「丸善」の京都河原町店(京都市中京区)が今月十日で閉店する。店内に『檸檬』の文庫本千冊が積み上げられ、「丸善ファン」らが買い求めている。

 横浜で創業した丸善は、明治五年に京都でも営業開始。大正十四年発表の『檸檬』に登場する丸善は、現在地とは異なる三条麩屋町(現・中京区)にあったとされる。

 小説では、「えたいの知れない不吉な塊」を抱え、京都の町をさまよい歩いた主人公が「最後に立ったのは丸善の前だった」と記され、手にしていたレモンを美術書の上に置き立ち去っていく。この小説で丸善の知名度は全国区になった。

 しかし、丸善が全国の自社ビルを売却する方針を打ち出した中に、京都の店も含まれていた。四月に閉店が決まったあと、『檸檬』の売り上げは徐々に上昇。八月には、積み上げた本の上にレモンを載せた絵柄の記念スタンプを作製し、押印ができるようにしてからは、大量購入する人も現れ、一日五十-七十冊が売れる日もあり、在庫も底をついた。

 書店一店が一度に仕入れる文庫本は人気作でも百-二百冊とされる書店業界の常識の中で、今回のように千冊の店頭販売は極めて異例という。

 伊藤博店長は「閉店には忸怩(じくじ)たる思いがあるが、“檸檬ブーム”はうれしい限り」と話していた。

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この記事では、レモンを本の上に置いて立ち去る客がいたかどうかまったく触れておりません。『檸檬』がよく売れているという話だけです。レモンを置いていった客はいなかったのでしょうか?どちらが正しいのでしょうか?

事実を知りませんので、安易な推測はよしましょう。閉店間近の丸善京都店に対して、あまりにセンチメンタルな思いをもった朝日の記者の暴走でないことを願う次第です。若き日の思い出を壊されるのは悲しいですから。
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1 コメント

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Unknown (おまーにゃ)
2005-10-17 21:47:52
この話、ちょっと感動しましたが、『檸檬』を知らない人には全然伝わらない、「テロ?」とか反応されると悲しくなります。
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