モンスター・スパコン、米国製サミットが中国を圧倒しました。記録しておきましょう。
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スパコン世界ランクが激変 中国が首位陥落、米国返り咲き 日の丸ベンチャーの「暁光」は姿消す
スーパーコンピューターの計算速度の世界ランキング「TOP500」が25日、ドイツで開催中の国際会議で発表され、米国が中国を退け2012年以来の首位に返り咲いた。国の助成金詐欺事件で逮捕、起訴されたベンチャー企業の前社長らが開発し、日本最速だった「暁光」はランクから姿を消した。
暁光は「ペジーコンピューティング」(東京)が開発。昨年11月の前回発表で国内最高の4位に躍進して注目を集め、前社長は今年中に世界トップを目指すとしていた。
事件を受け、関連会社に開発費を融資した科学技術振興機構が調査し、当初の計画を満たせなくなったとして開発中止を決定。設置していた海洋研究開発機構の横浜研究所からも撤去された。
トップに躍り出たのは米オークリッジ国立研究所の「サミット」。計算速度は毎秒12京2300兆回(京は1兆の1万倍)で、前回の首位から2位に後退した中国の「神威太湖之光」(同9京3014兆回)を大きく上回った。
3位は米ローレンス・リバモア国立研究所の「シエラ」、4位は中国の「天河2A」だった。
中国勢は年2回発表される世界ランクで「天河2」がトップに立った13年6月以降、10連覇していた。この5年間は天河2と神威太湖之光が世界をリード。米国勢は苦戦を強いられ、昨年はトップ3からも落ちていた。
今回のランキングではトップ5のうち、首位と3位の米国勢はいずれも新顔。中国の後塵を拝していた米国の巻き返しが際だった格好だ。
日本勢では産業技術総合研究所の「AI橋渡しクラウド(ABCI)」が5位に入った。人工知能(AI)の技術開発を目的に構築したもので、計算速度は毎秒1京9880兆回。東大・筑波大の「オークフォレスト・パックス」は12位、理化学研究所の「京(けい)」は16位で、いずれも順位を下げた。
アジア勢では韓国科学技術情報研究院の「ヌリオン」が理研の京を上回る11位と健闘した。
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主なスパコンの順位と計算速度(1秒間の浮動小数点計算回数、京は1兆の1万倍)は以下の通り。
(1)米オークリッジ国立研究所「サミット」 12京2300兆回
(2)中国・無錫スパコンセンター「神威太湖之光」 9京3014兆回
(3)米ローレンス・リバモア国立研究所「シエラ」 7京1610兆回
(4)中国・広州スパコンセンター「天河2A」 6京1444兆回
(5)産業技術総合研究所「AI橋渡しクラウド(ABCI)」 1京9880兆回
(6)スイス・国立スパコンセンター「ピーツ・ダイント」 1京9590兆回
(7)米オークリッジ国立研究所「タイタン」 1京7590兆回
(8)米ローレンス・リバモア国立研究所「セコイア」 1京7173兆回
(9)米ロスアラモス国立研究所「トリニティー」 1京4137兆回
(10)米ローレンス・バークレー国立研究所「コリ」 1京4014兆回
(12)東大・筑波大「オークフォレスト・パックス」 1京3554兆回
(16)理化学研究所「京」 1京510兆回
(19)東京工業大「TSUBAME3.0」 8125兆回
IBMとNVIDIAが世界最速のスーパーコンピューター「Summit」を構築、中国から世界一の座を奪還へ
アメリカのエネルギー省が現地時間の2018年6月8日、200ペタFLOPSという性能を誇るスーパーコンピューター「Summit」を発表しました。Summitは「毎秒200,000兆回」というとてつもない計算を可能にする性能を備えており、中国勢が優勢なスーパーコンピューターの性能競争で再びアメリカが優位に立つ可能性を示すものとなっています。
IBM, Nvidia Build “World’s Fastest Supercomputer” for US Government | Data Center Knowledge
http://www.datacenterknowledge.com/supercomputers/ibm-nvidia-build-world-s-fastest-supercomputer-us-government
US debuts world's fastest supercomputer - BBC News
https://www.bbc.com/news/technology-44439515
U.S. Builds World's Fastest Supercomputer – Summit
https://thehackernews.com/2018/06/summit-fastest-supercomputer.html
IBMとNVIDIAが設計したSummitはテネシー州にあるオークリッジ国立研究所(ORNL)に設置されている、膨大な数のIBM Power 9プロセッサーとNVIDIA Tensor Core GPUを搭載するスーパーコンピューターです。テニスコート2面分の大きさを持ち、フルパワーで処理を行われた際には最大で13メガワットの電力を消費します。また、Summitの冷却には4000ガロン(約1万5000リットル)の冷却水が用いられ、専用の冷却用施設が新たに建設されています。
Summitの処理能力は200ペタFLOPSにも及びます。1ペタFLOPSは浮動小数点演算を1秒間に1000兆回行うことができることを示しており、Summitは「200×1000兆回=20京回」の浮動小数点演算を行う性能を備えています。これは、これまでのアメリカで最高の性能を持っていた「Titan」の8倍の性能を持ち、2016年6月からスパコンランキング「TOP500」で一位の座にある中国の神威・太湖之光の93ペタFLOPSを2倍以上上回る性能となっています。
膨大な処理能力を持つSummitは、4608台の計算サーバーで構成されています。各サーバーは3.1GHzで動作する2つのIBM Power9 CPUと6枚のNvidia Tesla V100 GPUで構成されており、システム全体で2万7648枚のGPUを使用。IBMとNVIDIAのチップはPCIeの10倍の速さを持つ300gbpsのNVLinkで接続されているとのこと。また、システム全体では10ペタバイト以上のメモリ(RAM)が搭載されています。膨大なコンピューティング能力を備える一方で、従来よりも高効率な処理能力を備えることもSummitの特徴であるとのこと。Summitは「消費電力1ワットあたり15ギガFLOPS」という処理能力を備えています。
ORNLによると、Summitは機械学習やニューラルネットワークなどの人工知能(AI)アプリケーションで使用するために設計された初めてのスーパーコンピューターであるとのこと。ORNLの研究室ディレクターであるJeff Nichols氏は「SummitのAI最適化ハードウェアは、膨大なデータセットを分析し、発見のスピードを速めるためのインテリジェントなソフトウェアを作成する素晴らしいプラットフォームを研究者に提供します」と述べています。この膨大な処理能力を使って実施される研究内容としては、「がん研究」や「核融合発電」「病気および中毒」の分野のものが予定されています。
数値的には従来の性能を2倍にしたSummitの登場でアメリカ勢が巻き返しを図る様相を呈するスーパーコンピューターの性能競争ですが、それでもなお中国勢の優勢は変わらずの状況といえます。2017年11月に発行された世界トップのスーパーコンピューターの最新のTop500リストのうち、アメリカ勢は143台がランクインしているのに対し、中国勢は202台と大きく水をあけている状況です。
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想像もつかないサミットの計算量です。しかし、テニスコート2面分の大きさを持ち、1万5000リットルの冷却水が必要といわれると、サミットのもの凄さを理解できます。
中国に負けたくないという米国の意地がもたらした開発結果でしょう。日本も見習わないといけません。
日本政府は、日本人による世界一のスパコン開発に向けて、惜しまない援助を行うべきです。5位では、いけません。2位でもよろしくなく、やっぱり世界一を目指してもらわないと。
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