2005年2月19日(土)Gump Theatreにおいて初公開された『スターリングラード』の定期上映会報告であります。
この映画が思い出させてくれるのは、そもそも戦争映画というのは、ヒーローが知恵の限りを尽くして戦い抜いて勝っていくのが基本であったのだということです。
ゴウ先生が子供のときに見たTVドラマの『コンバット』に出てくるサンダース軍曹は――いまから思えば、憎きアメリカ兵士なのではありますが――やっぱりカッコよかったものです。ナチスなんかやっつけちまえと本当に思いました。
そういう意味では、戦争映画は英雄中心主義というイデオロギーで作り上げられるのが王道なのかもしれません。
ところが、『ブラックホークダウン』などの昨今の戦争映画は、人道主義というイデオロギーに冒されてしまっている気がします。戦争はこんなに残酷なんだ、戦争なんか絶対にやってはいけないんだ、と。
しかし、そんなものはどうでもいい。男と男が闘う戦争をリアルに見せてくれという英雄待望論もあるわけです。最近の格闘技ブームにはそうした匂いを強烈に感じます。
ジャン・ジャック・アノー監督の真意は別のところにあったかもしれませんが、この実在のスナイパーをモデルにした映画を見てみると、やはりカッコイイ奴はカッコいいと言いたかったのだという結論に達するわけです。
この映画は、ソ連軍とドイツ軍の陰惨な争いを描いていて、大量の死体があちらこちらに散乱しているのに、どこか爽やかさが漂う始末です。ソ連兵役のジュード・ロウもドイツ兵役のエド・ハリスも英語をしゃべっている所からも、リアリティがないというわけではありませんが、不思議なファンタジーが生まれてきます。
とはいえ、この映画を見て、戦争そのものがカッコイイという結論にはならないはずです。多くの一般人にとって、あの極限状態に自分の身を置くことはどうしても耐えられるものではないでしょうから。
つまり、ゴウ先生が思うに、アノーが描こうとしたのは、戦争のカッコよさと戦争の悲惨さとの間にはギリギリ紙一重の違いしかないということではなかったのでしょうか。
戦争はいかんとカッコつけても、現実に存在するわけだし、なくなるものではないわけです。そうした頭デッカチの平和ボケした人々にガツンとショックを味合わせたかった気がします。実際、そうした力を持った映画です。
この点において、戦争映画の王道を思い出させてくれたアノーは大したものだと認めざるを得ません。
しかし、ゴウ先生、個人的についていけない部分もあります。ソ連軍兵士を高く評価するような描き方にです。やっぱりアノーは共産主義にシンパシーを感じ、ナチスを毛嫌いするのでしょうか。どう見てもそうとしか思えない映画作りです。これもアノーの歴史観なのでしょうね。ちょっと、ついていけません・・・。
というわけで、ゴウ先生ランキング:B+
大画面でサラウンド音響で見ると、DTS録音されたこのDVDは、半端でない緻密さで戦闘シーンを描ききります。小さなTVで見てほしくないですね。
INDEC新入会員募集中!INDEC公式ホームページへどうぞ!
スターリングラード<DTS EDITION>ポニーキャニオンこのアイテムの詳細を見る |
この映画が思い出させてくれるのは、そもそも戦争映画というのは、ヒーローが知恵の限りを尽くして戦い抜いて勝っていくのが基本であったのだということです。
ゴウ先生が子供のときに見たTVドラマの『コンバット』に出てくるサンダース軍曹は――いまから思えば、憎きアメリカ兵士なのではありますが――やっぱりカッコよかったものです。ナチスなんかやっつけちまえと本当に思いました。
そういう意味では、戦争映画は英雄中心主義というイデオロギーで作り上げられるのが王道なのかもしれません。
ところが、『ブラックホークダウン』などの昨今の戦争映画は、人道主義というイデオロギーに冒されてしまっている気がします。戦争はこんなに残酷なんだ、戦争なんか絶対にやってはいけないんだ、と。
しかし、そんなものはどうでもいい。男と男が闘う戦争をリアルに見せてくれという英雄待望論もあるわけです。最近の格闘技ブームにはそうした匂いを強烈に感じます。
ジャン・ジャック・アノー監督の真意は別のところにあったかもしれませんが、この実在のスナイパーをモデルにした映画を見てみると、やはりカッコイイ奴はカッコいいと言いたかったのだという結論に達するわけです。
この映画は、ソ連軍とドイツ軍の陰惨な争いを描いていて、大量の死体があちらこちらに散乱しているのに、どこか爽やかさが漂う始末です。ソ連兵役のジュード・ロウもドイツ兵役のエド・ハリスも英語をしゃべっている所からも、リアリティがないというわけではありませんが、不思議なファンタジーが生まれてきます。
とはいえ、この映画を見て、戦争そのものがカッコイイという結論にはならないはずです。多くの一般人にとって、あの極限状態に自分の身を置くことはどうしても耐えられるものではないでしょうから。
つまり、ゴウ先生が思うに、アノーが描こうとしたのは、戦争のカッコよさと戦争の悲惨さとの間にはギリギリ紙一重の違いしかないということではなかったのでしょうか。
戦争はいかんとカッコつけても、現実に存在するわけだし、なくなるものではないわけです。そうした頭デッカチの平和ボケした人々にガツンとショックを味合わせたかった気がします。実際、そうした力を持った映画です。
この点において、戦争映画の王道を思い出させてくれたアノーは大したものだと認めざるを得ません。
しかし、ゴウ先生、個人的についていけない部分もあります。ソ連軍兵士を高く評価するような描き方にです。やっぱりアノーは共産主義にシンパシーを感じ、ナチスを毛嫌いするのでしょうか。どう見てもそうとしか思えない映画作りです。これもアノーの歴史観なのでしょうね。ちょっと、ついていけません・・・。
というわけで、ゴウ先生ランキング:B+
大画面でサラウンド音響で見ると、DTS録音されたこのDVDは、半端でない緻密さで戦闘シーンを描ききります。小さなTVで見てほしくないですね。
INDEC新入会員募集中!INDEC公式ホームページへどうぞ!
平和ボケの考えをしておりましたが、「戦争のカッコよさと悲惨さは紙一重」という先生のお言葉に、心の中ではっきりとしなかった部分がえぐられた気がします。それが戦争の現実なのだと感じました。
頭だけで考えても理解する事が出来ない戦争というものを、体全てで感じることが出来る作品でありました。
素晴らしい作品を上映頂きまして誠にありがとうございました。
他方、不謹慎かもしれませんが、ジュード・ロウとエド・ハリスの戦いにカッコイイと思ってしまったことも事実です。
しかし、カッコイイとか悲惨とかいったことを超えて、軍事的戦略ミスとして有名なこの戦いや、ナチスとソ連軍の描かれ方の違い、現在のロシアとの外交問題などこの映画を通じて考えることが出来たと思います。
ご上映ありがとうございました。
ごろごろと転がる死体が戦争で起きる現実を
体験させてくれました。
引き続きご指導宜しくお願い申し上げます。
戦争のカッコよさと悲惨さはギリギリ紙一重とは、大変言い得ております。
大変勉強になりました。
上映下さり有り難うございました。