ゴウ先生、映画を見に行く時は、じっくり研究してから見る場合とまったく研究せずに見る場合とがあります。ブログで書いた映画で言えば、『スター・ウォーズ エピソードIII』が前者の代表ですし、『スウィングガールズ』や『パッチギ』が後者です。
こうしてみると、どうやら邦画の場合はほとんど直観で見たい映画を選び、洋画の場合予習を重要視しているようです。
これは当然と言えば当然のことです。邦画が描く世界は、いかに奇想天外なストーリーであっても、予習しなくても何となく分かるからです。最近見た映画で言えば『亀は意外と速く泳ぐ』がまさにこれに当たります。上野樹里ファンのゴウ先生としては、悪評などものともせず、何の予習もなく、見に行きました。(その結果は・・・。まあ、聞かないでください。ジュリッペと会えただけで幸せだったのですから。)
その意味では、邦画に甘すぎるかもしれません。少ない予算でがんばっているのが見え見えなのがかえって感動をこちらに送ってくれる気がするのです。
それではお金をかけた日本映画はどのように考えればよいのでしょう。『戦国自衛隊』だの『ローレライ』だの、ゴウ先生、パスさせてもらいました。ハリウッド映画と比べれば、どこかチャッチイような気がして。
ですから、『亡国のイージス』もパスするつもりだったのです。ところが10日ほど前、新宿南口近くの金券屋をのぞいてみたら、その前売券が1000円で売られているではありませんか。「じゃ、買っておくか」と思った次第です。
もちろん、原作も読んでいません。ゴウ先生、愛国者ではありますが、軍事オタクでも軍事小説マニアでもありませんから。
しかし、いざ見に行こうと思っても暇がありません。貧乏英語塾の塾長もそれなりに忙しいのです。しかも見たい映画が山ほどあります。先週など、自宅で『ザ・ホワイトハウス』のDVDを吟味しながら、『シンデレラマン』の試写へ出かけ、Gump Theatreの大画面で公開間近の『愛についてのキンゼイ・レポート』と『Be Cool』をチェックする日々でした。『亡国のイージス』が入る余地がありません。
しかし、前売券がパーになってしまうのも腹ただしいではありませんか。何とか時間を作って、昨日新宿ピカデリー1の4時からの回にもぐりこんだのでした。
この映画館、『ミリオンダラー・ベイビー』と『バットマン・ビギンズ』を見た小屋です。後者の時の印象が悪かったので、席取りに神経を使いました。全席自由席になっていたので、普段は指定席になっている箇所に席を取りました。
観客動員数が100万人を突破したというニュースを見ましたが、昨日のピカデリーはガラガラもよいところでした。
しかし、良い席を確保したと思ったのもつかの間、隣に来たオヤジが裸足の足を前の椅子に投げ出す始末。奥さん連れのようなので、一喝食らわしたいところをぐっとガマンして場所を移動して前方へ。そしてその選択は正解でした。映画に集中できるようになったのです。
ピカデリー1においでの際は、前方の席で見上げるようにスクリーンを見たほうが快適です。両サイドの緑色の非常口ランプも気にならなくなりますし、椅子のリクライニングも微妙に調整してあって、見上げ続けるのが苦になりません。ただし、サラウンド・バックの音がどうなるかですが、『亡国のイージス』はサラウンド映画ではなかったようで、あまり気になりませんでした。
そしていよいよ本編。INDEC会員の一人が「あまり面白くなかった」と言っていたので、ゴウ先生、大いに期待していました。これで面白かったら、どうからかってやろうかと。いかんですね、師匠ともあろう者が・・・。
結論。弟子の負けです。面白かったです。1000円の価値は十分にありました。1800円の価値は?と問われれば、ビミョーという答になりそうですが、暇で安いチケットが入手できたら、ぜひどうぞと申し上げたいです。
まず、これは原作を読んだらペケの映画でしょう。あれだけ分厚い原作を2時間の映画で描ききるのは無理です。(件の会員も原作に感動していた口です。)相当大切なところをカットしているのでしょう。『血と骨』の時も原作を読んでいたゴウ先生、本編に対して相当失望しました。
しかし、原作を読んでいなければ、話は別のはずです。映画として楽しめば『血と骨』も面白い映画だと思いますから。
20年以上前、角川映画が全盛の頃、春樹社長のもと「読んでから見るか。見てから読むか」というコピーが流行しました。やはり原作映画は「見てから読む」べきものなのでしょう。
その意味で、ゴウ先生、得しました。
確かに、後述するようにストーリー展開に曖昧なところはあります。しかし出演している俳優の名前もチェックせずに暇つぶしに入った映画です。最初から多少のアラには目をつぶる気でいますから、気になりません。
そうして見ると、仙石先任伍長役の真田広之が少し太っていて、高卒で自衛隊に入ったと思しき冴えないたたき上げを演じているのが、何かよく見えます。
それに対して、某国(北朝鮮に決まっているではないか!)工作員少佐役の中井貴一の海上自衛隊の制服姿がカッコよいではないですか。中国映画『ヘブン・アンド・アース』で日本人役をやるよりは、日本映画で北朝鮮人(!)役をやった方がいかしているとは、皮肉な話です。
そんなわけで、ゴウ先生、しっかり映画の世界にのめりこめられました。
ゴウ先生ランキング:B-
Bランクに入れちゃいましたから、入場料の元は取れるということです。ただし、原作を読んだ人には勧めません。
ただ、原作を読んでいないゴウ先生でも『亡国のイージス』よりも単なる『イージス』もしくは『某国のイージス』(?)というタイトルがふさわしい映画だと思いました。その点、たとえるなら、魚の名前だけで勝負した『シュリ』の鮮やかさに完全に負けています。イデオロギーよりも、アクションでしょう、この映画は。
それから、この映画だと、宮津副長(寺尾聡)防衛大学出身のキャリア自衛官が無能に見えます。いくら船の隅々まで知っているという先任伍長だとはいえ、彼と如月という謎の1等海士の組み合わせに某国工作員たちも自衛隊キャリア組も負け続けるのです。この辺、脚本に工夫が欲しかったところです。実際に、キャリア組は腰抜けでノータリンだという信念があるなら別ですが。
さらに、自衛官たちが某国工作員と手を組む過程もきちんと描くべきでしょう。何のために日本政府を脅すのかがハッキリしません。宮津副長の行動の根拠が最後まで分からないために、寺尾聡が『ザ・ロック』のエド・ハリスになっていないのであります。その意味で宮津たちと対峙するDAIS(防衛庁情報局)内事本部長としての佐藤浩市の役もぼけてしまいました。
最後に、イージス艦がこれほど脆い軍艦だとは思いませんでした。イージス艦を手に入れた段階で、世界と戦えるとばかり思っていたら、何か弱々しくて。映画よりもそのことの方が日本人として不安になったほどです。
ただし、うまいカット割りと編集のせいか、映画が安っぽくなっていません。少ない予算の割には十分なリアリティを与えています。
ともあれ、悪くない気分で映画館を後にできる作品です。たまには頭を空っぽにしたい人はぜひどうぞ。
こうしてみると、どうやら邦画の場合はほとんど直観で見たい映画を選び、洋画の場合予習を重要視しているようです。
これは当然と言えば当然のことです。邦画が描く世界は、いかに奇想天外なストーリーであっても、予習しなくても何となく分かるからです。最近見た映画で言えば『亀は意外と速く泳ぐ』がまさにこれに当たります。上野樹里ファンのゴウ先生としては、悪評などものともせず、何の予習もなく、見に行きました。(その結果は・・・。まあ、聞かないでください。ジュリッペと会えただけで幸せだったのですから。)
その意味では、邦画に甘すぎるかもしれません。少ない予算でがんばっているのが見え見えなのがかえって感動をこちらに送ってくれる気がするのです。
それではお金をかけた日本映画はどのように考えればよいのでしょう。『戦国自衛隊』だの『ローレライ』だの、ゴウ先生、パスさせてもらいました。ハリウッド映画と比べれば、どこかチャッチイような気がして。
ですから、『亡国のイージス』もパスするつもりだったのです。ところが10日ほど前、新宿南口近くの金券屋をのぞいてみたら、その前売券が1000円で売られているではありませんか。「じゃ、買っておくか」と思った次第です。
もちろん、原作も読んでいません。ゴウ先生、愛国者ではありますが、軍事オタクでも軍事小説マニアでもありませんから。
しかし、いざ見に行こうと思っても暇がありません。貧乏英語塾の塾長もそれなりに忙しいのです。しかも見たい映画が山ほどあります。先週など、自宅で『ザ・ホワイトハウス』のDVDを吟味しながら、『シンデレラマン』の試写へ出かけ、Gump Theatreの大画面で公開間近の『愛についてのキンゼイ・レポート』と『Be Cool』をチェックする日々でした。『亡国のイージス』が入る余地がありません。
しかし、前売券がパーになってしまうのも腹ただしいではありませんか。何とか時間を作って、昨日新宿ピカデリー1の4時からの回にもぐりこんだのでした。
この映画館、『ミリオンダラー・ベイビー』と『バットマン・ビギンズ』を見た小屋です。後者の時の印象が悪かったので、席取りに神経を使いました。全席自由席になっていたので、普段は指定席になっている箇所に席を取りました。
観客動員数が100万人を突破したというニュースを見ましたが、昨日のピカデリーはガラガラもよいところでした。
しかし、良い席を確保したと思ったのもつかの間、隣に来たオヤジが裸足の足を前の椅子に投げ出す始末。奥さん連れのようなので、一喝食らわしたいところをぐっとガマンして場所を移動して前方へ。そしてその選択は正解でした。映画に集中できるようになったのです。
ピカデリー1においでの際は、前方の席で見上げるようにスクリーンを見たほうが快適です。両サイドの緑色の非常口ランプも気にならなくなりますし、椅子のリクライニングも微妙に調整してあって、見上げ続けるのが苦になりません。ただし、サラウンド・バックの音がどうなるかですが、『亡国のイージス』はサラウンド映画ではなかったようで、あまり気になりませんでした。
そしていよいよ本編。INDEC会員の一人が「あまり面白くなかった」と言っていたので、ゴウ先生、大いに期待していました。これで面白かったら、どうからかってやろうかと。いかんですね、師匠ともあろう者が・・・。
結論。弟子の負けです。面白かったです。1000円の価値は十分にありました。1800円の価値は?と問われれば、ビミョーという答になりそうですが、暇で安いチケットが入手できたら、ぜひどうぞと申し上げたいです。
まず、これは原作を読んだらペケの映画でしょう。あれだけ分厚い原作を2時間の映画で描ききるのは無理です。(件の会員も原作に感動していた口です。)相当大切なところをカットしているのでしょう。『血と骨』の時も原作を読んでいたゴウ先生、本編に対して相当失望しました。
しかし、原作を読んでいなければ、話は別のはずです。映画として楽しめば『血と骨』も面白い映画だと思いますから。
20年以上前、角川映画が全盛の頃、春樹社長のもと「読んでから見るか。見てから読むか」というコピーが流行しました。やはり原作映画は「見てから読む」べきものなのでしょう。
その意味で、ゴウ先生、得しました。
確かに、後述するようにストーリー展開に曖昧なところはあります。しかし出演している俳優の名前もチェックせずに暇つぶしに入った映画です。最初から多少のアラには目をつぶる気でいますから、気になりません。
そうして見ると、仙石先任伍長役の真田広之が少し太っていて、高卒で自衛隊に入ったと思しき冴えないたたき上げを演じているのが、何かよく見えます。
それに対して、某国(北朝鮮に決まっているではないか!)工作員少佐役の中井貴一の海上自衛隊の制服姿がカッコよいではないですか。中国映画『ヘブン・アンド・アース』で日本人役をやるよりは、日本映画で北朝鮮人(!)役をやった方がいかしているとは、皮肉な話です。
そんなわけで、ゴウ先生、しっかり映画の世界にのめりこめられました。
ゴウ先生ランキング:B-
Bランクに入れちゃいましたから、入場料の元は取れるということです。ただし、原作を読んだ人には勧めません。
ただ、原作を読んでいないゴウ先生でも『亡国のイージス』よりも単なる『イージス』もしくは『某国のイージス』(?)というタイトルがふさわしい映画だと思いました。その点、たとえるなら、魚の名前だけで勝負した『シュリ』の鮮やかさに完全に負けています。イデオロギーよりも、アクションでしょう、この映画は。
それから、この映画だと、宮津副長(寺尾聡)防衛大学出身のキャリア自衛官が無能に見えます。いくら船の隅々まで知っているという先任伍長だとはいえ、彼と如月という謎の1等海士の組み合わせに某国工作員たちも自衛隊キャリア組も負け続けるのです。この辺、脚本に工夫が欲しかったところです。実際に、キャリア組は腰抜けでノータリンだという信念があるなら別ですが。
さらに、自衛官たちが某国工作員と手を組む過程もきちんと描くべきでしょう。何のために日本政府を脅すのかがハッキリしません。宮津副長の行動の根拠が最後まで分からないために、寺尾聡が『ザ・ロック』のエド・ハリスになっていないのであります。その意味で宮津たちと対峙するDAIS(防衛庁情報局)内事本部長としての佐藤浩市の役もぼけてしまいました。
最後に、イージス艦がこれほど脆い軍艦だとは思いませんでした。イージス艦を手に入れた段階で、世界と戦えるとばかり思っていたら、何か弱々しくて。映画よりもそのことの方が日本人として不安になったほどです。
ただし、うまいカット割りと編集のせいか、映画が安っぽくなっていません。少ない予算の割には十分なリアリティを与えています。
ともあれ、悪くない気分で映画館を後にできる作品です。たまには頭を空っぽにしたい人はぜひどうぞ。