ピアニカ、懐かしい!
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鍵盤ハーモニカ楽しむには? 大人の楽器として再評価
朝日新聞 子2016年11月28日05時03分
どこか懐かしい響きの鍵盤ハーモニカ。「ピアニカ」(ヤマハ)や「メロディオン」(鈴木楽器製作所)など、商品名で覚えている人も多いだろう。今は小学1年で最初に習うことが多いが、中学に入ると存在ごと忘れてしまい、投稿してくれた木崎家のように、押し入れに眠ったままということも……。
「それはもったいない!」と言うのは、アルバムを出したり、全国の小学校でバンド演奏したりしている松田昌・名古屋音大大学院特任教授(69)だ。元々は「エレクトーン」のトップ奏者で、40年ほど前にコンサートの打ち上げで、たまたま鍵盤ハーモニカを手に取り、魅了された。首からストラップでつり下げ、お客さんに指の動きを見せて両手で弾くスタイルで、全国をライブ行脚している。
鍵盤を弾くだけでなく、息を吹き込む吹奏楽器でもある。その魅力は、「心とメロディーが一つになり、まるで歌うように吹けること」と松田さん。初心者には、まず音の強弱による音色の変化を体感してもらうことから始める。大半の人が「子ども用の音が平板な楽器」と思いこんでいるからだ。
まずは小さな音や大きな音を一定の強さで吹く「ロングトーン」の練習から。「ファ」などの鍵盤を押さえ、静かに腹式で息を送り込んで一定の弱い音(ピアノ)や強い音(フォルテ)を維持。できるようになったら、弱い音からだんだん強く(クレッシェンド)していき、まただんだん弱く(デクレッシェンド)していく練習をする。
この練習曲にぴったりなのが、「アメイジング・グレイス」。おなじみのメロディーが、音の強弱で素晴らしい仕上がりになる。このほか、童謡「ふるさと」や「七つの子」、サザンオールスターズの「いとしのエリー」などが初心者にお薦め。舌の動きで音に変化をつける「タンギング」などのテクニックを身につけたら、ジャズやタンゴ、シャンソンにもいい曲がある。また、気軽に持ち運べる特長を生かし、複数で弾いたり、ピアノとアンサンブルを楽しんだりするのもいい。
「今は家庭で独習するための良い教本もある。練習は裏切りませんから、ぜひチャレンジしてみてください」と松田さんは話す。
■大人向け高性能モデルも
そもそも、鍵盤ハーモニカとは、どんな楽器なのか。
内部にある薄い金属「リード」を、空気で震わせ音が出る。ハーモニカやアコーディオンなどと同じ仲間だ。元々はドイツ生まれ。日本では1960年代に学校教育用に普及した。音階が目に見え、音も出しやすいことから、ハーモニカに代わって小学校の音楽の授業に採用され、子どもへの浸透度は世界一という。
そんな鍵盤ハーモニカが最近では「ケンハモ」と呼ばれ、「大人の楽器」として再評価されている。
10月下旬、松田さんが講師を務める「ヤマハ目黒センター」(目黒区)の教室を訪ねると、ケンハモをストラップで格好良く斜めがけにした女性10人ほどが練習していた。
都内のピアニスト、嘉山晶子さん(35)は、表現力を磨こうと約1年前から通う。千葉県船橋市のオーボエ奏者、井上恵子さん(51)も、「音の強弱や音色の変化など奥深く、楽器の可能性を感じる」。
鈴木楽器によると、少子化で子ども用の販売は頭打ちだが、鍵盤が多かったり、ライブ用にマイクを内蔵したりする高性能の大人向けモデルが販売を伸ばしている。
背景にはケンハモ奏者の活躍に加え、全国のピアノ教室の先生たちの学習熱の高まりがある。国内最大のピアノ指導者らの社団法人「全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)」は昨年からケンハモをレッスンに生かす方法を伝授する講習会を全国15カ所ほどで開き、好評だという。
プロの演奏に感動し、普及を進めるピティナの福田成康専務理事(52)は、ケンハモが日本の音楽文化を底上げすると確信している。「手軽で表現力も十分。全国のピアノ指導者が演奏を楽しみ、子どもや地域の人を巻き込んでいけば、カラオケボックスや公民館などで、多くの人がアンサンブルを楽しむ社会になる。ケンハモは日本人が一生つきあえる大きな財産です」
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■世界の注目集めるかも
今回、トップクラスの演奏を生で聴き、「これがあの鍵盤ハーモニカ?」と驚いた。小学生の息子のを借りて吹いてみると、下手ながら味わいのある音が出る。何より、自分の息を反映するのが楽しい。斜めがけで弾く大人スタイルもかっこいい。プロ奏者の吉田絵奈さん(38)が、海外のストリートで歩きながら演奏すると、歓声に包まれるという。「クールジャパン」の有力コンテンツとして、世界中から注目を集めるかも、と思った。(足立朋子)
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ケンハモを首からつるして、両手で演奏している風情は、まるでサックスを吹いているかのよう。左手の使い方が難しいのかもしれませんが(貧乏英語塾長は右利きなので)、やってみたくなります。
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