さすが櫻井よしこさん、舌鋒鋭く中国と対中外交を斬ってくれました。
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【櫻井よしこ 安倍首相に申す】中国式不条理ただす時 (産経新聞)
21世紀は、不条理が通用しにくい世紀である。非人道的な政策は非難を免れず、国家には道義的責任が厳しく問われる。
だからこそ、あの中華人民共和国政府はミア・ファローの前で戦々恐々とするのだ。女優でユニセフ親善大使の氏はこれまで4度、スーダンを訪れた。彼女のウェブサイトにはスーダンでの見聞、体験が、怒りとともに書かれている。ダルフールの虐殺への真っ当な憤りと、それを何としてでも止めてみせるという決意は、多くの記事となって各紙に掲載された。
2006年7月4日の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』掲載の記事に始まり、米国の一流メディアで、彼女はダルフールで進行する「21世紀最初のジェノサイド(大虐殺)」、女性、子供、老人や男たちへの強姦や惨殺を具体的証言をまじえて報じてきた。
そして彼女は問う、虐殺はなぜ、継続されるのかと。同国産出の石油の半分以上を購入し、見返りに武器を売り、虐殺に目をつぶり、国連のスーダン制裁措置を常に妨げてきた中国の所為だと糾弾する。
ここまでは、しかし、他の多くの人々も指摘してきた。ミア・ファローのミア・ファローたるゆえんはここからだ。彼女は、中国の国家的悲願、北京五輪の成功を人質にとり、中国がスーダン政府を支援し続ければ北京五輪はジェノサイド・オリンピックになると決めつけたのだ。
彼女の訴えがいかに広く深く、米国から欧州連合へと広がっているか。この間の経緯は『選択』6月号の「ジェノサイド・オリンピック」に詳しい。
舌を巻くのは、彼女が、その信念を訴え続ける言葉の力で、欧米社会の最も深い核の部分、彼らの価値観の根底を揺さぶっていることである。それは、彼女の主張こそが、21世紀の国際社会を規定する価値観となることを明示している。彼女が動かした巨大組織のひとつは、米国の投資信託最大手のフィデリテイ・インベストメンツ社(以下、フィ社)だった。同社は、保有する中国最大のエネルギー会社、ペトロチャイナ株式の9割余りの売却に追い込まれた。昨年末時点で預託証券450万枚(1枚100株相当)の保有が、42万枚に減少。売却がファロー氏の追及と関係があるのは間違いないだろう。
彼女は今年2月5日の『L・Aタイムズ』紙上で虐殺とフィ社を結びつけて論じた。
「私は自身の年金資金をフィ社に預けて、不注意にもダルフールの虐殺の財政的支援に手を貸していた。フィ社はハルツーム(スーダン政府)の金庫に何十億ドルも注ぎ込む中国大手石油会社、ペトロチャイナとシノペックの株を有している」。
スーダン政府は石油輸出で得る歳入の70%から80%が40万人を虐殺した武器弾薬、武装車両、ヘリコプターなどに費やされていると彼女は指摘する。
フィ社が「複雑な社会的、政治的問題の解決は適切なる権威に任せるべき」だと弁解したとき、彼女は猛然と反論、自身の資金をサッと引き揚げ、同様の行動をとるよう、広く呼びかけた。米国を代表する大学のファンドも鋭く反応、ハーバード大学、カリフォルニア大学などが続々とスーダンの石油のにおいのする投資から資金を引き揚げたのだ。
反人道的行為への強硬意見は、リベラル派だけではなく、ブッシュ大統領の支持基盤の保守派にも根強い。大統領は5月29日、スーダンに対する制裁強化措置を発表した。スーダン政府系企業31社と、同政府高官ら3人の資産を凍結し、米金融機関との取引を禁止する内容だ。
中国側は即日、ダルフール問題担当特別代表、劉貴今氏が「スーダンの発展が平和に貢献する。中国の石油協力はダルフール問題の根本的解決に役立つ」と反論した。
反省しない中国への米議会の姿勢は厳しく、下院本会議は6月5日、賛成410票、反対ゼロ票で対中国抗議決議案を採択した。ダルフールの虐殺防止の行動を中国がとらない場合、北京五輪のボイコットも辞さないことを明らかにしたのだ。
ドイツのハイリゲンダム・サミットでも、歴史的にアフリカとの関係が深い欧州諸国も同様に中国に冷ややかだった。
今秋の全人代で強大な権力を手にしても、胡錦濤国家主席の最大の弱点が、私たちにとって至上の価値である正義や人道主義であることに変わりはない。
中国式の不条理な政治は21世紀の国際社会にそぐわない。戦後日本が実践してきた人権尊重の価値観こそ、21世紀を支える要素だ。だからこそ、安倍晋三首相は、対中外交で、盤石の自信をもってよいのだ。今、中国の不条理を真正面から正すことが、21世紀の価値観を確かなものとし、対中外交で優位に立つ道である。
(2007/06/14 08:28)
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ミア・ファローは、1945年生まれのアメリカ人女優。フランク・シナトラ、アンドレ・プレヴィンと結婚し、ウッディ・アレンのパートナーであったことでも有名。
その彼女、もともと激しい活動家としても知られており、櫻井さんの指摘どおりの活躍を見せています。
ともかく、儲けるためなら非人道的なことをしても構わないというのは中国の特異な発想。21世紀に許されてはいけません。
たとえば、今日のニュースにも次のような痛ましい事件が紹介されていました。
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子供1000人が強制労働 中国山西省(共同通信) - goo ニュース
2007年6月14日(木)08:30
【北京14日共同】中国夕刊紙、北京晩報は13日、中国山西省臨汾市などのれんが焼き窯に1000人以上の子供がだまされて連行され強制労働をさせられていると伝えた。同市では8日に、大人の労働者31人が1年以上監禁されていた事件が明らかになったばかり。自分の子供を救出した父親らがインターネット上で児童労働の悲惨な実態を告発したのがきっかけで地元当局の対応への反発が広がっている。
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このような国に翻弄されている日本ですが、安倍首相も少しはがんばってくれています。産経新聞の記事を記録しておきましょう。
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中国のサミット正式参加 首相拒否、日独会談時に表明
安倍晋三首相が主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)の際に行われた議長国・ドイツのメルケル首相との会談で、中国の主要8カ国(G8)サミットへの正式参加は容認できないとの意向を表明し、メルケル首相も同意していたことが13日、わかった。日本の首相が拒否の立場を公式に示したのは初めて。米国に加え、ドイツと次期サミット議長国の日本が歩調を合わせたことで「正式参加問題は当面棚上げとなる」(外務省幹部)とみられる。
「軍事費不透明」「ダルフール虐殺黙認」
安倍首相の同行筋によると、会談でメルケル首相は、中国の正式参加に対する日本の立場をただした。これに対し、安倍首相は「日本は認めない」と明言。その理由として、中国は(1)軍事費が不透明で、19年連続で2ケタの伸び率となっている(2)スーダン西部ダルフールでの民兵組織による大量虐殺を黙認し、スーダン政府を支援している(3)国際的なルールを守っていない-の3点を強調した。メルケル首相も「よく理解する」と同調した。
この発言について両国政府は会談後、「機微に触れる問題」(首相同行筋)との認識から記者団に公表していなかった。
安倍首相はまた、一昨年に中国全土で「歴史問題」を理由とした反日デモが起き、日本からの対中投資が一時減少したことに言及し、「中国指導部は、日本バッシングは経済成長にマイナスで、共産党独裁が許されるのは経済のお陰だということに気づいた。これが今の日中友好につながっている」と語ったという。
メルケル首相はこの会談結果も踏まえ、サミット閉幕に際しての記者会見で、G8の構成国を拡大し中国などを正式メンバーとすることに反対の考えを明確にした。
中国は2000年の九州沖縄サミットで、日本からのオブザーバー参加の打診を拒否したが、03年のフランスのエビアン・サミットでは胡錦濤国家主席がG8首脳と発展途上国との対話に初めて出席。04年の米シーアイランド・サミットには米国が招待しなかったが、05年の英グレンイーグルス・サミット、06年の露サンクトペテルブルク・サミット、今年のハイリゲンダム・サミットと3年連続でインドなどと「途上国枠」で参加し、常連になりつつある。
日本政府は、来年7月の北海道洞爺湖サミットに「中国を従来通りオブザーバーとして招待する方針」(政府関係者)だという。
中国は参加に関心をもちつつ、一定の距離を置く姿勢をみせてきた。経済政策や人権問題などで不利な要求を押し付けられることへの警戒感があるとみられる。同時に「中国は日本がG8の枠組みを対中牽制(けんせい)の舞台装置に使っていることに神経をとがらせている」(日中外交筋)のも事実。このため日本側には、中国はオブザーバー参加を継続しつつ「G8が三顧の礼を尽くし正式メンバーに迎え入れる環境が整うのを待っている」(外務省関係者)との見方もある。
(2007/06/14 08:30)
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中国が「三顧の礼」を尽くして招待する価値のある国になるかどうか、すべては中国の民主化がスムーズに進むことが決め手となります。
五輪ボイコットを含めて、中国の暴走を止める強い態度が望まれます。
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【櫻井よしこ 安倍首相に申す】中国式不条理ただす時 (産経新聞)
21世紀は、不条理が通用しにくい世紀である。非人道的な政策は非難を免れず、国家には道義的責任が厳しく問われる。
だからこそ、あの中華人民共和国政府はミア・ファローの前で戦々恐々とするのだ。女優でユニセフ親善大使の氏はこれまで4度、スーダンを訪れた。彼女のウェブサイトにはスーダンでの見聞、体験が、怒りとともに書かれている。ダルフールの虐殺への真っ当な憤りと、それを何としてでも止めてみせるという決意は、多くの記事となって各紙に掲載された。
2006年7月4日の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』掲載の記事に始まり、米国の一流メディアで、彼女はダルフールで進行する「21世紀最初のジェノサイド(大虐殺)」、女性、子供、老人や男たちへの強姦や惨殺を具体的証言をまじえて報じてきた。
そして彼女は問う、虐殺はなぜ、継続されるのかと。同国産出の石油の半分以上を購入し、見返りに武器を売り、虐殺に目をつぶり、国連のスーダン制裁措置を常に妨げてきた中国の所為だと糾弾する。
ここまでは、しかし、他の多くの人々も指摘してきた。ミア・ファローのミア・ファローたるゆえんはここからだ。彼女は、中国の国家的悲願、北京五輪の成功を人質にとり、中国がスーダン政府を支援し続ければ北京五輪はジェノサイド・オリンピックになると決めつけたのだ。
彼女の訴えがいかに広く深く、米国から欧州連合へと広がっているか。この間の経緯は『選択』6月号の「ジェノサイド・オリンピック」に詳しい。
舌を巻くのは、彼女が、その信念を訴え続ける言葉の力で、欧米社会の最も深い核の部分、彼らの価値観の根底を揺さぶっていることである。それは、彼女の主張こそが、21世紀の国際社会を規定する価値観となることを明示している。彼女が動かした巨大組織のひとつは、米国の投資信託最大手のフィデリテイ・インベストメンツ社(以下、フィ社)だった。同社は、保有する中国最大のエネルギー会社、ペトロチャイナ株式の9割余りの売却に追い込まれた。昨年末時点で預託証券450万枚(1枚100株相当)の保有が、42万枚に減少。売却がファロー氏の追及と関係があるのは間違いないだろう。
彼女は今年2月5日の『L・Aタイムズ』紙上で虐殺とフィ社を結びつけて論じた。
「私は自身の年金資金をフィ社に預けて、不注意にもダルフールの虐殺の財政的支援に手を貸していた。フィ社はハルツーム(スーダン政府)の金庫に何十億ドルも注ぎ込む中国大手石油会社、ペトロチャイナとシノペックの株を有している」。
スーダン政府は石油輸出で得る歳入の70%から80%が40万人を虐殺した武器弾薬、武装車両、ヘリコプターなどに費やされていると彼女は指摘する。
フィ社が「複雑な社会的、政治的問題の解決は適切なる権威に任せるべき」だと弁解したとき、彼女は猛然と反論、自身の資金をサッと引き揚げ、同様の行動をとるよう、広く呼びかけた。米国を代表する大学のファンドも鋭く反応、ハーバード大学、カリフォルニア大学などが続々とスーダンの石油のにおいのする投資から資金を引き揚げたのだ。
反人道的行為への強硬意見は、リベラル派だけではなく、ブッシュ大統領の支持基盤の保守派にも根強い。大統領は5月29日、スーダンに対する制裁強化措置を発表した。スーダン政府系企業31社と、同政府高官ら3人の資産を凍結し、米金融機関との取引を禁止する内容だ。
中国側は即日、ダルフール問題担当特別代表、劉貴今氏が「スーダンの発展が平和に貢献する。中国の石油協力はダルフール問題の根本的解決に役立つ」と反論した。
反省しない中国への米議会の姿勢は厳しく、下院本会議は6月5日、賛成410票、反対ゼロ票で対中国抗議決議案を採択した。ダルフールの虐殺防止の行動を中国がとらない場合、北京五輪のボイコットも辞さないことを明らかにしたのだ。
ドイツのハイリゲンダム・サミットでも、歴史的にアフリカとの関係が深い欧州諸国も同様に中国に冷ややかだった。
今秋の全人代で強大な権力を手にしても、胡錦濤国家主席の最大の弱点が、私たちにとって至上の価値である正義や人道主義であることに変わりはない。
中国式の不条理な政治は21世紀の国際社会にそぐわない。戦後日本が実践してきた人権尊重の価値観こそ、21世紀を支える要素だ。だからこそ、安倍晋三首相は、対中外交で、盤石の自信をもってよいのだ。今、中国の不条理を真正面から正すことが、21世紀の価値観を確かなものとし、対中外交で優位に立つ道である。
(2007/06/14 08:28)
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ミア・ファローは、1945年生まれのアメリカ人女優。フランク・シナトラ、アンドレ・プレヴィンと結婚し、ウッディ・アレンのパートナーであったことでも有名。
その彼女、もともと激しい活動家としても知られており、櫻井さんの指摘どおりの活躍を見せています。
ともかく、儲けるためなら非人道的なことをしても構わないというのは中国の特異な発想。21世紀に許されてはいけません。
たとえば、今日のニュースにも次のような痛ましい事件が紹介されていました。
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子供1000人が強制労働 中国山西省(共同通信) - goo ニュース
2007年6月14日(木)08:30
【北京14日共同】中国夕刊紙、北京晩報は13日、中国山西省臨汾市などのれんが焼き窯に1000人以上の子供がだまされて連行され強制労働をさせられていると伝えた。同市では8日に、大人の労働者31人が1年以上監禁されていた事件が明らかになったばかり。自分の子供を救出した父親らがインターネット上で児童労働の悲惨な実態を告発したのがきっかけで地元当局の対応への反発が広がっている。
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このような国に翻弄されている日本ですが、安倍首相も少しはがんばってくれています。産経新聞の記事を記録しておきましょう。
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中国のサミット正式参加 首相拒否、日独会談時に表明
安倍晋三首相が主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)の際に行われた議長国・ドイツのメルケル首相との会談で、中国の主要8カ国(G8)サミットへの正式参加は容認できないとの意向を表明し、メルケル首相も同意していたことが13日、わかった。日本の首相が拒否の立場を公式に示したのは初めて。米国に加え、ドイツと次期サミット議長国の日本が歩調を合わせたことで「正式参加問題は当面棚上げとなる」(外務省幹部)とみられる。
「軍事費不透明」「ダルフール虐殺黙認」
安倍首相の同行筋によると、会談でメルケル首相は、中国の正式参加に対する日本の立場をただした。これに対し、安倍首相は「日本は認めない」と明言。その理由として、中国は(1)軍事費が不透明で、19年連続で2ケタの伸び率となっている(2)スーダン西部ダルフールでの民兵組織による大量虐殺を黙認し、スーダン政府を支援している(3)国際的なルールを守っていない-の3点を強調した。メルケル首相も「よく理解する」と同調した。
この発言について両国政府は会談後、「機微に触れる問題」(首相同行筋)との認識から記者団に公表していなかった。
安倍首相はまた、一昨年に中国全土で「歴史問題」を理由とした反日デモが起き、日本からの対中投資が一時減少したことに言及し、「中国指導部は、日本バッシングは経済成長にマイナスで、共産党独裁が許されるのは経済のお陰だということに気づいた。これが今の日中友好につながっている」と語ったという。
メルケル首相はこの会談結果も踏まえ、サミット閉幕に際しての記者会見で、G8の構成国を拡大し中国などを正式メンバーとすることに反対の考えを明確にした。
中国は2000年の九州沖縄サミットで、日本からのオブザーバー参加の打診を拒否したが、03年のフランスのエビアン・サミットでは胡錦濤国家主席がG8首脳と発展途上国との対話に初めて出席。04年の米シーアイランド・サミットには米国が招待しなかったが、05年の英グレンイーグルス・サミット、06年の露サンクトペテルブルク・サミット、今年のハイリゲンダム・サミットと3年連続でインドなどと「途上国枠」で参加し、常連になりつつある。
日本政府は、来年7月の北海道洞爺湖サミットに「中国を従来通りオブザーバーとして招待する方針」(政府関係者)だという。
中国は参加に関心をもちつつ、一定の距離を置く姿勢をみせてきた。経済政策や人権問題などで不利な要求を押し付けられることへの警戒感があるとみられる。同時に「中国は日本がG8の枠組みを対中牽制(けんせい)の舞台装置に使っていることに神経をとがらせている」(日中外交筋)のも事実。このため日本側には、中国はオブザーバー参加を継続しつつ「G8が三顧の礼を尽くし正式メンバーに迎え入れる環境が整うのを待っている」(外務省関係者)との見方もある。
(2007/06/14 08:30)
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中国が「三顧の礼」を尽くして招待する価値のある国になるかどうか、すべては中国の民主化がスムーズに進むことが決め手となります。
五輪ボイコットを含めて、中国の暴走を止める強い態度が望まれます。
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