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井山七冠、世界一への目標を語る

2017年10月27日 03時54分05秒 | 囲碁

井山七冠のインタビューです。記録しておきましょう。

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「納得のいく手を打とう」2度目の囲碁七冠、井山新名人
朝日新聞 2017年10月25日01時59分

 今月、囲碁名人戦七番勝負を制した井山裕太・新名人(28)は、名人位奪還とともに前人未到の2度目の七大タイトル独占を果たした。偉業を成し遂げたエネルギーの源泉、中国や韓国の後塵(こうじん)を拝する世界戦への思い、AI(人工知能)の出現で激変する囲碁界のこれからについて聞いた。(聞き手・大出公二)

 ――2度目の七冠独占です。

 今期名人戦は自分でも想像しなかった2度目をかけたシリーズになりましたが、それは意識せず、名人を失った昨年の名人戦で見えた課題を乗り越えようという思いで臨みました。

 ――課題とは。

 昨年4月に初めて七冠を達成してから、それがいつまで続くのか、誰が崩すのかが注目された。自分自身も気持ちの面で勝たなければ、守らなければという方向にいってしまい、自ら転んでしまった。今回は全体に安定したパフォーマンスを示せて、成長できた部分を出せたと思う。

 ――最近、碁に向かう気持ちが結果より内容にシフトしていると聞きます。

 昨年七冠という大きな目標を達成したことで、さらに挑戦していこうという意識が芽生えた。また名人戦と並行して行われた世界戦でまずい碁を打ち、負けたことより内容的に何も残せなかったふがいなさが情けなく、一手一手、納得のいく手を打とうという思いが強まっていました。

 ――それがかえって好結果につながった?

 世界で打つたびに、さらに進歩しなければ大変だと感じます。それを意識し、見据えていることが、国内棋戦にもいい影響が出たのだと思います。

 ――世界で自分より強いと思う棋士はいますか。

 中国の柯潔(かけつ)九段(20)と韓国の朴廷桓(パクジョンファン)九段(24)まったくかなわないとは思わないが、総合的に見ると自分より上かなと。打っていて非常にセンスを感じます。ただ、彼らに勝ってもなんらおかしくない棋士が少なくとも20人はいる。その中で一番になるには、さらに努力が必要だと思います。

 ――国内でタイトルを取るほど世界戦は日程が重なり出られなくなりました。

 昨年3月、国内棋戦の主催各社を回って世界戦に出られるよう日程調整をお願いしました。自分自身、いつまでいい状態を続けられるかわからない。これは自分の問題でもあるし、次の世代の問題でもある。おかげさまで今年から出場機会が増えました。

 世界戦は場数を踏むことが大事。相手の強さは盤を挟んで感じる部分が大きい。真剣勝負の舞台で強い相手と何度も戦えば、頂点に立つチャンスはある。ただ、自分はまだ世界戦で内容にムラがある。より次元の高いパフォーマンスを続けられるかどうか。もう一段階、技術的にも精神的にも足りないところがあるということだと思います。

 ――「ここ数年が勝負」と言っています。

 世界トップクラスの年齢をみると、28歳の自分はベテラン30代となるとほとんどいません。自分自身、今が棋士人生の中で一番強い状態でいられているという感覚があり、これがピークとは言いたくありませんが、勝負できるときに勝負したい。

 ――昨年来、世界のトップ棋士に勝る囲碁AIが碁界を騒然とさせています。

 人間より先を行っているのは間違いない。私はプラスに考えています。AIの影響で碁が急速に変わってきている。色々な手を示してくれて、面白くなっている。人間が上を目指すためにも、強い相手が現れたのは悪いことではない

 若手への影響の方が大きいかもしれない。碁に対する考えが固まりきる前なら、従来の囲碁観にない手も抵抗なく受け入れられる。これからは、AIを師としてプロになる人が出てくるでしょう。

 碁は盤上のどこにでも自由に打てるのが魅力。しかし年齢を経るごとに、この局面ではこういうもんだと頭が固くなってしまう。しかし、AIにはそれがない。人間がAIに勝てなくなったのは残念ですが、碁の発展を考えればマイナスとは思いません。

     ◇

〈囲碁観戦記者・秋山賢司さんの談話〉

 坂田栄男、藤沢秀行、林海峰、趙治勲、小林光一……。45年間の観戦記者生活で時代の頂点に立った棋士たちを見てきたが、井山には彼ならではの際立った志向が二つある。

 一つは少年時代から常に自分より強い相手を求めてきたこと。「碁会所から帰るなり、きょうは誰々さんに勝ったと報告するのです」と、母堂からうかがったことがある。この姿勢を貫いているからこそ、国内棋戦の合間に中国や韓国での国際棋戦に参加するハードスケジュールにも耐えられるのだろう。

 二つ目は趙治勲さんの言う「井山は逃げ勝ちをしない」。優勢なら安全勝ちを目指したいのが人情。しかし井山はとことんノックアウトするまで手をゆるめず、相手にかなわないという気持ちを抱かせる。この二つの志向を持ち続ける限り、井山一強時代は続くだろう。国際棋戦でも好結果が出るはずだ。

     ◇

〈将棋・谷川浩司九段の談話〉

 井山さんはここ数年、囲碁界のタイトル戦にほぼフル出場しているはずで、その体力と精神力に驚く。私の経験では、負けが込んでくると気持ちの切り替えがきかなくなったりするもの。自分より年少者とのタイトル戦で勝っているのも素晴らしい。私自身、伸び盛りの若手をタイトル戦で迎え撃つ難しさを感じてきた。

 私が「将棋の最年少名人の記録保持者」、井山さんが「囲碁の最年少名人の記録保持者」。同じ関西在住で対談の機会もあり、27歳年下の井山さんの人柄の素晴らしさに感服してきた。あの柔和な人が、世界で戦う強い意志を示すことにも驚く。日本のナンバーワンになっても世界戦というもう一つ超えなければいけない壁、目標があるということなのだろう。

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過不足ないインタビュー、さすが大出記者と感心します。

世界戦に出るために棋戦タイトルマッチの日程を調整してもらうために自ら動いたという井山七冠の積極性には驚きました。このくらいの意欲がなければ、世界で勝つことはできないのでしょう。ぜひとも「場数」を踏んで、世界を制してもらいたいものです。

20歳前後の若者が世界を制する時代ですが、アラサーの井山七冠にもチャンスはあるはず。柯潔九段と朴廷桓九段を破って、ぜひとも世界一になってください。応援しています!


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