東京都八王子市の京王八王子駅前の路上で今月3日、点字ブロックの上を歩いていた全盲の男性が通行人と正面からぶつかり、白杖(はくじょう)が壊れた。つえを拾おうとかがんだところ、男の声で「目が見えないのに1人で歩くな」と言われ、右足を蹴られたという。けがはなかったが、相手はそのまま立ち去ったという。

 被害に遭ったのはNPO法人「八王子視覚障害者福祉協会」副理事長で市内に住む宮川純さん(41)。3日午前8時ごろ、JR八王子駅前でバスを降り、歩いて職場の福祉事業所に向かう途中だった。予備のつえを使って職場に着くことができた。

 散らばったつえの部品を拾ってくれた通行人が、ぶつかった相手は「20〜30代のサラリーマン風の男」だったと教えてくれたという。宮川さんはぶつかった直後にスマートフォンが落ちたような音を聞いた。毎日新聞の取材に「もし『歩きスマホ』なら絶対にやめてほしい。白杖がなければ外を一歩も歩けない人がいることを分かってほしい。予備のつえで歩いているが、不安でたまらない」と訴え、助けてくれた人や心配して声をかけてくれた人に感謝の気持ちを述べた。

 社会福祉法人「日本盲人会連合」は6月、駅の安全対策として「歩きスマホの禁止」などに取り組むように国土交通省に陳情している。通行人とぶつかって転倒し入院した例もあるという。【安達恒太郎】

**********

歩きスマホをしてようがしていまいが、人にぶつかって相手の大切なものを壊したうえに、罵詈雑言を投げかけ、暴力をふるうとは絶対に許せない行為です。まして相手は全盲の人。その「20〜30代のサラリーマン風の男」の神経を疑います。

そもそも点字ブロック上を歩くという無神経さにも、腹が立ちます。視覚障害者の人にとって、点字ブロックは頼りの綱。その上を健常者が歩くなどもってのほかです。

困っている人に優しい社会。そんな社会に住みたいものです。