東京都立川市内の百貨店内の飲食店で5月下旬、視覚障害者の女性が盲導犬を同伴しての入店を拒否された。店側は女性に謝罪し、再発防止に取り組むとした。2016年施行の障害者差別解消法は盲導犬を理由とした入店拒否を「不当な差別に当たる」と禁止するが、社会の理解が浸透していない現実が浮かんだ。

 女性側と百貨店の運営会社によると、女性は視覚障害者の男性らと店を訪れた。ハーネス(胴輪)を装着した盲導犬を連れて入ろうとすると、店員に「犬の入店は困ります」と止められた。盲導犬であることを説明しても、対応した店長が「うちは回転ずしなので盲導犬は入れません」と言われたという。

 障害者差別解消法は盲導犬を理由とした入店拒否を禁止するほか、身体障害者補助犬法も、原則として補助犬の同伴を拒んではならないとしている。

 この百貨店のホームページは「身体障害者補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)は全館同伴できます」と明記しており、百貨店の入り口には同様の趣旨が記載されたステッカーが貼られている。

 多摩立川保健所は女性側から話を聞いた上で、障害者差別解消法などに基づき、店側に口頭で注意し再発防止を求めた。

 店は毎日新聞の取材に「お客様には大変申し訳ない。現場の社員まで認識を共有できていなかった」と話した。今回の問題を受け、接客マニュアルを見直し、盲導犬ユーザーが来店した際の対応を新たに記載するなどの再発防止策に取り組むとしている。

 日本盲導犬協会の広報担当者は「対応した従業員に差別の認識はなかったかもしれないが一人一人の認識が変わらなければ、今後も同じことが起こってしまう」と話した。

 協会が今年1〜2月に盲導犬ユーザー211人を対象に行った調査では、過去1年間で盲導犬の受け入れを拒否されたことがあると回答した人は58%の123人に上った。【安達恒太郎】

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きちんとした訓練を受けた盲導犬を始めとした身体障害者補助犬の優秀さは、半端ではありません。点字図書館のある高田馬場ではしょっちゅう盲導犬を見ますが、みんなおとなしく健気にご主人を支えています。それを観ると、おもわず目頭が熱くなります。

それなのに、この偏見と差別。信じられません。こういうことがないように、飲食店経営者の方々には、しっかりとした店員教育をお願いしたいところです。もちろん、補助犬を疎んじる客がいなくなることも願いのひとつです。