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連載:ヒット!予感実感
(ヒット!予感実感)宇宙葬ってどんなもの?
朝日新聞 2016年1月14日22時00分
「宇宙葬」がちょっとした話題だ。葬儀にも個性を求める人が増える中、「樹木葬」や「海洋散骨」など様々なサービスが出ているが、究極の一つが宇宙葬らしい。一体、どんな内容なのか? 宇宙空間で散骨したら「宇宙ゴミ」にならないのか? そもそも、ちょっと怪しげな気も……。早速、取材してみた。
米国ニューメキシコ州にある世界初の商業用宇宙港「スペースポート・アメリカ」で2015年11月6日、全長5メートルのロケットが打ち上げられた。
ロケットは、3人の日本人を含む9人の遺灰が入ったカプセルを先端部に積んでいた。うち1人は民主党の尾立源幸(もとゆき)参院議員の母寿美子さん。打ち上げに先立つセレモニーで、尾立議員のメッセージが代読された。
「お母さんからたくさんの愛情を頂きました。本当にありがとう! 旅行好きのお母さんに宇宙旅行をプレゼントします」
ロケットは標高100キロを超えた宇宙空間に入り、大気圏に突入した後に燃え尽きた。尾立議員は「世界中どこにいても、空を見あげれば、母に向かって手を合わせることができます」と話す。
こうした、遺灰をつめたカプセルを宇宙空間に打ち上げるサービスが「宇宙葬」と呼ばれている。人工衛星に搭載して最長240年間、地球を周回させたり、月面に運んだりするプランもある。
宇宙飛行プランは、遺灰1グラムで税込み48万6千円。最も高い7グラムは同145万8千円だ。
宇宙まで打ち上げるわりには「割安」なお値段かもしれない。費用を抑えられるのには理由がある。
ロケットの胴体部分には、研究や実験が行われる装置が入っている。こうした実験と一緒に行うことで、コストを抑えているという。実験の内容によっては、遺灰のカプセルを回収できる場合もあるし、宇宙空間での滞在時間も異なる。
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このサービスを展開する代表的な会社が2013年設立の「銀河ステージ」(大阪市)だ。海に遺灰をまく海洋散骨や、自然の中に遺骨をうめる樹木葬なども手がけている。宇宙葬を1997年から手がける米セレスティス社の正規代理店となり、2014年に宇宙葬のサービスを始めた。
日本語での申し込みや日本円での支払い、遺灰の国内受け付けができるのが特徴で、すでに計5人が利用した。ちなみに、銀河ステージの安楽友宏社長が尾立議員の後援会に入っている縁で、料金を支払い、尾立氏の母の遺灰を宇宙に送ることになったという。
打ち上げには毎回、銀河ステージの社員が立ち会い、セレモニーを動画で撮影して家族に届けている。
サービスは主力の宇宙飛行プランのほかに、アメリカ航空宇宙局(NASA)と協力した三つのプランがある。
人工衛星プランは税込み102万6千円からで、宇宙空間で地球を最長240年間回り続ける。パソコンやスマートフォンを使えば、人工衛星の位置をいつでも確認できるという。この春までのフライトで、銀河ステージが受け付けた5人分の遺灰の搭載が決まっているという。
月面まで遺灰を運ぶ「月旅行プラン」や、宇宙探査機に搭載して宇宙をめぐる「宇宙探検プラン」も2017年に実施する予定という。
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故人が星になったかのように宇宙空間から見守ってくれるなら、なかなか魅力的なサービスかもしれない。ただ、ちょっと不安なこともある。打ち上げに失敗したら、どうなるのだろうか?
銀河ステージ社によると、事前に、打ち上げが失敗する可能性もあることを契約書で了解を得るという。1997年に始まったセレスティス社の宇宙葬はこれまでに計14回あったが、失敗は一度もないそうだ。もし失敗したら、次回の打ち上げで優先的に搭載され、無料になるという。
気になる点がもう一つ。打ち上げられた遺灰や容器が宇宙を漂い続けて、宇宙ゴミになる心配はないのか。
「ロケットは燃え尽きるように設計されているので、宇宙ゴミになることはありません」(銀河ステージの担当者)。宇宙空間にいる間も、国際宇宙ステーションやほかのロケットとぶつからないよう、軌道が計算されているという。こういった疑問には、申し込み前でも電話などで答えてくれるそうだ。
宇宙葬について、葬儀コンサルタントの吉川美津子さんは「宇宙葬そのものは米国で20年ほど前からあり、日本では代理店ができては消えるという繰り返しで、定着はしなかった。ここ数年は、新たな供養の選択肢として現実的になってきた」という。ただ、「宇宙葬は、あくまで遺灰の一部を使うだけということを理解すべき。費用や手間を十分に検討しつつ、残りの遺骨をどうするかなども考えておくことが大切だ」と話している。
【銀河ステージの宇宙葬の概要】
●宇宙飛行プラン
米国から宇宙空間へロケットで打ち上げる。遺灰1グラムの「標準クラス・シングル」で48万6千円、7グラムの「ファーストクラス・ツイン」で145万8千円(税込み)
●人工衛星プラン
人工衛に搭載して宇宙空間へ打ち上げる。最長240年間軌道上を周回する。標準クラス・シングル102万6千円、ファーストクラス・ツイン307万8千円(同)
●月旅行プラン
アメリカ航空宇宙局(NASA)の月面着陸宇宙船で運ぶ。次回は2017年実施予定。標準クラス270万円、ファーストクラス・ツイン799万2千円(同)
●宇宙探検プラン
NASAの宇宙探査機に搭載して、宇宙をめぐる。次回は宇宙帆船「サンジャマー」。標準クラス270万円、ファーストクラス・ツイン799万2千円(同)(西尾邦明)
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